例年は7月の開催で“真夏の祭典”と呼ばれる第92回都市対抗野球大会が、いよいよ11月28日に幕を開ける。東京五輪による日程の変更で2年続けてこの時期の開催になるため、ドラフト指名された選手の集大成を見られるのと同時に、来年のドラフト候補と目される選手の成長ぶりを確認できる。そんな大会には、複数のスカウトが「2022年ドラフトでは社会人の目玉のひとり」と評する有望株が開幕戦から登場する。

 大会連覇を狙うHondaで、新人ながらエース格の活躍を見せている左腕・片山皓心(ひろみ)である。日立一高2年夏には茨城県大会で準優勝したが、3年間をほぼ控え投手として過ごす。潜在能力を見込まれて進学した桐蔭横浜大では2年秋からリーグ戦のマウンドに登るも、3年時は左ヒジ痛に見舞われる。

 ただ、ようやく万全となった4年秋には、6勝1敗、防御率1.39の活躍で、リーグ新の8本塁打をマークした主砲・渡部健人(現・埼玉西武)とともに2季ぶりのリーグ優勝に貢献。51回2/3を投げて59三振を奪う投球は圧巻で、関東地区大学選手権でも優勝し、最優秀選手賞と最優秀投手賞を手にした。

 今春にHondaへ入社すると、その実力が本物であったことを早々に示す。Hondaでは、昨年の都市対抗で若獅子賞に輝き、今年のドラフト候補と目されていた朝山広憲がコンディション不良で戦列を離脱。そんなチーム事情もあって3月の東京スポニチ大会でリーグ戦第1戦の先発を任された片山は、立ち上がりに三菱自動車岡崎に1点を献上するも、すぐに立て直してテンポのいい投球を披露。打線が逆転すると、129球で1失点完投勝利を挙げる。5安打8奪三振とほぼ完璧な内容だった。

初見では打てないキレ味のストレート

 その後も安定した投球を続けた片山は、自身の2勝で出場権を得た日本選手権でも一回戦に先発。パナソニックを12奪三振、1失点に抑えて全国初勝利を手にすると、Hondaの開田成幸監督は「片山がいい流れを作って、最後まで投げてくれたのが勝因」と手放しで褒め称える。二回戦は日本生命を相手に3失点で完投勝利を挙げ、準決勝では大阪ガスに8回まで無失点の好投。しかし、9回裏に3連打で1点を返されるとマウンドを譲り、逆転サヨナラ負けを喫してしまう。そうして社会人の洗礼も受けたが、今季の社会人では目立つパフォーマンスを続けている。

 決して自滅しない、球数が増えても球威が落ちない、ボールの出どころが見え辛いなど、片山の特長はいくつもある。ある球団のスカウトは「大学4年時にプロ志望届を出してくれれば、上位ではなかったかもしれないけれど指名はできた。今年の投球を見ると、プロの先発ローテーションにも入れるボールを投げている。もう、来年は1位で競合しますね」とため息をついた。

 プロだけではない。片山の採用を考えていた社会人の企業チームはHonda以外にもあり、その採用担当者はこう語る。

「あのストレートには、初見では打てないキレがある。絶対に活躍してくれると思っていましたが、大学4年春までの成績では強く推すことができなかった」

 それだけの資質を備え、見事に社会人で開花させた片山は、ルーキーイヤーを締め括る大会でどんな活躍を見せてくれるだろうか。Hondaは、11月28日の午前10時にプレイボールの開幕戦に登場し、投打に充実したJR東日本東北と対戦する。第92回都市対抗野球大会の組み合わせは以下の通り。12日間にわたって東京ドームで熱戦が繰り広げられる。

(写真提供=小学館グランドスラム)

第92回都市対抗野球大会組み合わせ
第92回都市対抗野球大会組み合わせ