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2019年ドラフトの注目株【3】――三振を取れる投球が魅力のリリーバー・宮田康喜(日本製鉄広畑)

横尾弘一野球ジャーナリスト
最速150キロのストレートとフォークボールを武器に、三振の山を築かせる宮田康喜。

 日本選手権の地区最終予選も、9月22日に代表が決定する予定の北海道を残すのみとなり、社会人野球はドラフト・モードの期間に入った。1か月後に迫ったドラフト会議で誰を指名するか、12球団のスカウトは最終的な判断をしようと東奔西走しているが、そんな中で何度か名前を聞かれるようになった投手がいる。日本製鉄広畑の右腕・宮田康喜である。

 9月7日にわかさスタジアム京都で行なわれた日本選手権近畿最終予選の敗者復活二回戦で、ニチダイを相手に先発すると、最速150キロのストレートを制球重視で抑えめにコーナーへ投げ分け、持ち味のフォークボールとのコンビネーションで好投。打線の援護もあって7回コールド勝ちだったが、2安打9奪三振の完封で着実な進化を印象づけた。

 普段はリリーフが多く、この日の先発は約4か月ぶり。浜口直也監督によれば、「他の投手の調子が上がらず、継投を念頭に置いて先発させました」というチーム事情によるものだったが、「球速よりも、失点しないことを意識して投げた」と、負ければ予選敗退となるチームを救うクレバーな投球だった。

 全国的には無名の兵庫県立姫路南高の出身。同学年では、岸田行倫(現・巨人)が攻守の大黒柱だった報徳学園高が3年春の甲子園に出場し、投手では明石商高の松本 航(現・埼玉西武)や加古川北高の左腕・門前侑太(現・日本新薬)が注目されていた。

 ただ、3年春の県大会でベスト8に勝ち残った姫路南高は、準々決勝で背番号10の宮田が滝川二高を1点に抑え、さらに加古川北高との準決勝では1-0の完封勝利。創部初の決勝進出を果たし、報徳学園高に敗れたものの1-3と接戦を演じた。夏は五回戦で加古川北高に0-6と完敗したが、当時を知るスカウトによれば「140キロ台前半のストレートには、まだまだ伸びる可能性を感じた」という。

リリーフで磨いた三振を取れる投球が持ち味

 2015年に新日鐵住金広畑(当時)へ入社すると、森原康平(現・東北楽天)がエースの投手陣で、1年目から公式戦に登板する機会を与えられる。森原がプロ入りした2017年は坂本光士郎、坂本が東京ヤクルトへ入団した今季は川瀬航作と、先発を任されるエース格は大卒投手が務めているが、宮田もリリーバーとしてしっかり力をつけてきた。

 4年目だった昨年の日本選手権一回戦で、全国の舞台に初登板。強豪・トヨタ自動車と2対2という接戦の9回からマウンドに登ると、2回を完璧に抑え、10回裏のサヨナラ勝ちで勝利投手に。東芝との準々決勝で敗れたが、7回からの3イニングスを無安打で無失点と、強力打線に対しても真っ向勝負の投球が光った。

 そうして迎えた今季も、春先から安定した投球を続けており、先発を任される試合も増えた。都市対抗近畿二次予選では、1点を争う展開でチームの勝利を引き寄せる活躍を見せ、8年ぶりの本大会出場に貢献。視察したオリックスの谷口悦司スカウトは「三振を取れるのが魅力。昨年からさらに成長している」と評した。

 東京ドームでは、ストレートの最速がついに150キロをマーク。だが、日本選手権予選は、完封した翌日の代表決定戦に登板がないまま敗れ、本大会に出場することはできなかった。それでも、「同い年になるプロの大卒ルーキーと比較しても、一軍でも活躍できるだけの技術とメンタルを備えているのがわかるし、リリーフにも適性がある」と、評価はさらにアップしている様子。社会人では先発型が注目を浴びることが多いが、リリーフで磨いてきた宮田の実力も見逃せない。

野球ジャーナリスト

1965年、東京生まれ。立教大学卒業後、出版社勤務を経て、99年よりフリーランスに。社会人野球情報誌『グランドスラム』で日本代表や国際大会の取材を続けるほか、数多くの野球関連媒体での執筆活動および媒体の発行に携わる。“野球とともに生きる”がモットー。著書に、『落合戦記』『四番、ピッチャー、背番号1』『都市対抗野球に明日はあるか』『第1回選択希望選手』(すべてダイヤモンド社刊)など。

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