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好カード続出!! 第90回都市対抗野球大会の組み合わせが決まる

横尾弘一野球ジャーナリスト
第90回都市対抗野球大会組み合わせ抽選会。好カード続出で観覧席から歓声が上がる。

 第90回都市対抗野球大会の組み合わせ抽選会が6月15日に東京都内で行なわれ、黒獅子旗を目指す対戦カードは以下のように決まった。

第90回都市対抗野球大会の組み合わせ
第90回都市対抗野球大会の組み合わせ

 3月の東京スポニチ大会を皮切りに開催されるJABA大会の優勝チームに社会人野球日本選手権大会の出場権が与えられるようになった2007年以降、東日本大震災の影響で多くのJABA大会が中止された2011年を除く11年間で、JABA大会の優勝チームが都市対抗を制したのは7回。

 残る4回のうち2007年の東芝、2014年の西濃運輸、2017年のNTT東日本はJABA大会でベスト4以上に進出しており、JABA大会で上位に進出せずに都市対抗で優勝できたのは2010年の東芝だけである。

 では、優勝を占う上で重要な今季のJABA大会優勝チームを見てみると、都市対抗に出場するのは日本製鉄鹿島、日本通運、鷺宮製作所、東芝、王子、トヨタ自動車、日本新薬、日本生命、JFE西日本の9チーム(北海道大会は6月19日から開催される)。だが、王子と日本製鉄鹿島が初戦(二回戦)で激突するのをはじめ、ベスト8までに潰し合うカードが多く、今大会ではJABA大会で4強以上に進出していない16チームから王者が誕生する可能性も低くないだろう。

 90回を記念して4チーム増の36チームが出場するため、一回戦で8チーム、二回戦で28チームが初戦を迎えるが、その中から注目のカードを3つピックアップしてみよう。

過去3年間の優勝チームの初戦に注目

 昨年優勝の大阪ガスは、機動力野球の中心だった近本光司が阪神入りしたが、温水賀一や阪本大樹が軸になる投手陣が安定しており、大きな戦力ダウンがない。ただ、大会2日目の第3試合で対戦するJFE東日本は、2年間で15名の新人を採用し、若さの勢いで3年ぶりの出場を第一代表で決めた。キレ味抜群のストレートを投げ込む2年目の右腕・本田健一郎、勝負強い新人スラッガーの平山 快らがどこまで力を発揮できるか楽しみだ。3点以下なら大阪ガス、4点以上ならJFE東日本の勝機が広がるだろう。

 大会4日目の第1試合では、2016年に黒獅子旗を手にしたトヨタ自動車と西関東第一代表の三菱日立パワーシステムズが激突する。トヨタ自動車の戦力は全国屈指の分厚さを誇り、三菱日立パワーシステムズは東京スポニチ大会、長野県知事旗大会ベスト4、九州大会準優勝と安定した戦いを続けている。先制点を奪ったほうが試合の主導権を握り、ミスで失点すれば苦しくなる。どんな戦術で仕掛けていくのかも大きなポイントになる。

 そして、2017年の王者・NTT東日本は、日本新薬と大会6日目の第2試合でぶつかる。両チームとも投打に充実しており、3月の東京スポニチ大会で対戦した際には4-1で日本新薬が快勝。そのまま優勝した。NTT東日本の大竹飛鳥、日本新薬の榎田宏樹とベテランのエースが先発すれば、1点勝負の息詰まる展開になるはずだ。

 ほかにも好カードが目白押しで、スタンドは熱気に包まれるだろう。各種イベントも用意されている東京ドームで、アマチュア最高峰の野球を楽しみたい。

野球ジャーナリスト

1965年、東京生まれ。立教大学卒業後、出版社勤務を経て、99年よりフリーランスに。社会人野球情報誌『グランドスラム』で日本代表や国際大会の取材を続けるほか、数多くの野球関連媒体での執筆活動および媒体の発行に携わる。“野球とともに生きる”がモットー。著書に、『落合戦記』『四番、ピッチャー、背番号1』『都市対抗野球に明日はあるか』『第1回選択希望選手』(すべてダイヤモンド社刊)など。

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