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ドラフト候補の本格化を見逃すな――第89回都市対抗野球大会二次予選が5月17日に開幕

横尾弘一野球ジャーナリスト
近畿地区で注目される高橋拓已(左=日本生命)と坂本光士郎(右=新日鐵住金広畑)

 第89回都市対抗野球大会の各地区二次予選が、5月17日の近畿地区(わかさスタジアム京都、明石トーカロ球場)で幕を開ける。都道府県単位の一次予選で、すでに敗退した企業チームもあるなど、何が起こるかわからない白熱の戦いは、プロを目指す選手たちにとっても大切なハードルのひとつになる。

 13日間で5代表を決める近畿で最も注目したいのは、二人のサウスポーだ。日本生命の高橋拓已はストレートに力があり、先発もリリーフもそつなくこなすユーティリティ。昨年の日本選手権では準優勝に貢献し、敢闘賞にも選ばれており、クレバーかつ高い安定感の投球には定評がある。

 新日鐵住金広畑の坂本光士郎は、150キロに迫るスピンの効いたストレートが大きな魅力。昨春は制球が安定しなかったが、都市対抗予選までにはエース格に台頭した。日本選手権で力強い投球を見せると、アジア・ウインター・ベースボールでは登板する度に進化。まだ粗削りな部分を残すものの、ポテンシャルの高さには大きな期待を寄せたくなる。

すでに上位指名が検討されている吉川峻平(パナソニック)

 高橋、坂本と同じドラフト指名が解禁となる大卒2年目では、パナソニックの長身右腕・吉川峻平も着実に力をつけている。関大4年時に日米大学野球の日本代表入りすると、社会人ではロケットスタート。都市対抗一回戦では14奪三振の力投で2失点完投勝利を挙げ、高橋や坂本らとともにアジア・ウインター・リーグにも出場した。その際に対戦したプロの打者に、「ストレートに力があり、低目へのコントロールもいい」とため息をつかせた投球はさらに磨かれ、すでに上位指名を検討している球団もあるという。

 投手力が充実している日本新薬では、187cmから投げ下ろすキレのあるストレートを武器に、岩本喜照がメキメキと頭角を現している。ベテラン左腕の榎田宏樹をはじめ、3年目の西川大地、小松貴志ら実力派の先輩たちを手本にフォームを固め、昨年の日本選手権で全国デビュー。一回戦にリリーフ登板すると、日本生命との準決勝では先発に抜擢され、黒星がついたものの5安打1失点で完投した。代表権獲得に貢献すれば、一気に注目度はアップするだろう。

 都市対抗二次予選は、以下の日程で実施される。ドラフト候補が本格化していく様子をチェックしておきたい。

【第89回都市対抗野球大会二次予選】

地 区  日  程         球   場        出場数 代表数

北海道 6/8~3日間       札幌市円山球場        4    1

東 北  6/1~7日間       岩手県営球場ほか   12 2

北信越 6/8~3日間      富山アルペンスタジアムほか 8 1

北関東  5/30~5日間       太田市運動公園球場 8 2

南関東 6/1~6日間      県営大宮公園球場 6 3

東 京  5/19~24・28~31     メットライブドームほか    8 4

西関東 5/19・20・25~27    横浜スタジアム        9 2

東 海  5/20~18日間      岡崎市民球場        16    6

近 畿  5/17・24~31・6/2・4・6・8 大阪シティ信金スタジアム  12 5

中 国  6/4~7日間       津田恒実メモリアルスタジアム 8 2

四 国  6/2~2日間       オロナミンC球場       4    1

九 州  5/25~7日間      北九州市民球場ほか     12    2

野球ジャーナリスト

1965年、東京生まれ。立教大学卒業後、出版社勤務を経て、99年よりフリーランスに。社会人野球情報誌『グランドスラム』で日本代表や国際大会の取材を続けるほか、数多くの野球関連媒体での執筆活動および媒体の発行に携わる。“野球とともに生きる”がモットー。著書に、『落合戦記』『四番、ピッチャー、背番号1』『都市対抗野球に明日はあるか』『第1回選択希望選手』(すべてダイヤモンド社刊)など。

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