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ジム・ロジャーズ 皆が悲観的な2023年は相場が持ちこたえる可能性も高い

花輪陽子シンガポール在住FP(CFPⓇ・1級FP 技能士)

シンガポール在住、ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。ジム・ロジャーズ著『捨てられる日本 世界3大投資家が見通す戦慄の未来』 及び、その後の2回の追加取材から日本と世界経済の行方について解説します。

「マーケット参加者のほとんどが悲観視している2023年は相場が持ちこたえる可能性もある。」

皆が既に悲観的な予測をしており、機関投資家も株式の保有比率を抑えているために想定よりもひどいことにはなりにくいということだと思われます。

コロナショックの際にもマーケットは悲観的に反応をしましたが、その後は大きく反転しました。ロジャーズ氏は逆張りの発想が上手だと感じます。

また、私がマーケットコミッティーとして参加をしているスイスのファミリーオフィスでも英国の株式市場が特に割安なために検討をしてもよいと述べていました。

インフレはいつ収束するのか

ロジャーズ氏にインフレについて聞いたところ、1970年台にはインフレが10年継続し、その間に合計21%もの金利を引き上げる必要があったと語ってくれました。

今回の利上げはインフレを抑え込むのに十分ではないということです。インフレは鈍化しているように見えますが、経済が減速をし始めると政府は再度お金を刷る可能性が高いと言うことです。それは長期的には状況を悪化させると述べていました。

また、日本を含む多くの国でインフレを抑えることができず、世界経済を停滞させ、スタグフレーションを起こすだろうと言っていました。これまでの13年間はたまたま記録的な低金利が続き、世界経済は好調でしたが、それは歴史的には稀なことで長くは続かないということです。

提供:イメージマート

どの政府もインフレについては真実を語らない 実際のインフレ率は政府公表よりも高い傾向がある

日本では昨年4%程度のインフレ率が報道されています。しかし、実際には電気代明細に仰天をしたり、スーパーの価格がもっと上昇していたりと感じる人も多いのではないでしょうか。

ロジャーズ氏はどの国の政府もインフレについては真実を語らず、インフレ率は政府公表よりもずっと高い可能性があると述べています。

スタグフレーションに打ち勝つためにどのようにすればよいでしょうか。豊かな先進国で生きる私達は実は物をそれほど買う必要はありません。生活を豊かにする経験、読書や健康づくりなど将来への投資に支出を絞り込んで浮いたお金で資産防衛をするべきです。

ロジャーズ氏は自分が詳しい分野に投資をするべきだと常に述べています。また、彼はまだ米ドル、金や銀、日本株などを保有しています。非常に長期のスパンでホールドしており、意見も全くぶれません。

インフレは短期的に株式投資の成長を阻害します。しかし、5年、10年後、インフレに打ち勝つことができれば大きく跳ねるチャンスもあるために粘り強く長期的に投資をすることが重要です。

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シンガポール在住FP(CFPⓇ・1級FP 技能士)

外資系投資銀行を経てファイナンシャル・プランナーとして独立。2015年よりシンガポール在住。『少子高齢化でも老後不安ゼロ シンガポールで見た日本の未来理想図』 (講談社+α新書)など著作多数。日本テレビ「有吉ゼミ」、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」などテレビ出演多数。花輪陽子のシンガポール富裕層の教え https://www.mag2.com/m/0001687882.html 海外に住んでいる日本人のお金に関する悩みを解消するサイトを運営 https://100mylifeplan.com/

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