月収63.5万円以上ある会社員の厚生年金保険料が9月から本人と会社負担合わせて月5490円高い11万8950円に引き上げとなります。これはどういう意味なのでしょうか。そもそもの厚生年金の仕組みを解説したいと思います。

厚生年金保険の仕組み

さて、老齢厚生年金は納めた保険料によって将来の年金受給額が決まります。老齢厚生年金は生年月日にもよりますが、原則として65歳からの支給になります。国民年金保険料は収入に関係なく一律ですが、厚生年金保険料は給与や賞与の金額によって変わります。「標準報酬月額」(給与に対する基準額)と「標準賞与額」(ボーナスに対する基準額)に保険料率をかけて保険料が計算される仕組みとなっています。

現在の保険料率は18.3%で事業主と被保険者で半額ずつ負担をします。老齢厚生年金の年金額はこの方法で徴収された保険料に基づいて計算されます。給与や賞与が非常に高い人は保険料や年金額が青天井に増えていくというわけではありません。標準報酬額は1等級(8万8000円)から最高で31等級(62万円)まで、標準賞与額は月間150万円までと上限が決まっています。31等級(標準報酬月額62万円)は月収60万5000円以上の人を対象として上限となっていました。

9月以降は月収63.5万円以上の人を対象に新たな上限として65万円の標準報酬月額を設定する予定です。これによって厚生年金保険料の上限は労使折半前で月額11万3460円から11万8950円に引き上がります。実際の自己負担は約半分です。手取り月収にすると約2745円の減というイメージです。給与明細をしっかりと確認しておかないと、高額所得者の場合、気づかないレベルかもしれません。

標準報酬月額の上限は、加入者の平均給与の2倍になるように決められていますが、このところ平均給与の2倍が62万円を超えている状況が続いているという背景から厚生労働省が上限を引き上げることにしました。もちろん新たな上限額になれば、将来もらえる予定の年金額は増える予定です。

公的年金の仕組み

公的年金は保険料が7割、税金が2割、積立金が1割で賄われています。積立金はGPIFによって運用されています。GPIFの4〜6月の四半期の運用益は12兆円超と四半期で最高の黒字になりました。各国中央銀行の金融緩和が株式や債券価格を押し上げたからです。公的年金の将来見通しによっては積立金が将来枯渇するリスクもあると指摘されています。できるだけ保険料収入を上げたいという思惑は当然あるでしょうし、数が少ない富裕層からは取りやすいという理由もあります。

高額所得者も収入が高い分、特に欧米企業ではリストラのリスクも高いです。配偶者のパート収入がなくなった、住宅ローンや教育費の負担が高いなども多く決して生活が楽なわけではありません。給付金をもらって財布が緩んでいる家計も多いですが、しっかりと引き締めて更なる負担増に備えたいものです。また、今のうちに住宅ローンや保険の見直し等を行うなど固定費を下げる工夫をしたいものです。