Yahoo!ニュース

絶対に食べておかねばならない 仙台のラーメン「基本」3軒

山路力也フードジャーナリスト
仙台には百年続く老舗ラーメン店も存在する。

杜の都で食べるべきラーメンとは?

2022年8月には3年ぶりの七夕祭りも開催された仙台。
2022年8月には3年ぶりの七夕祭りも開催された仙台。

 2022年8月、3年ぶりに七夕祭りが開催された宮城県仙台市。杜の都仙台には牛タン、ずんだ、笹かまぼこなど、全国にもその名が知られる名物が数多く揃っている。そんな仙台には古くからラーメン文化があり、中には百年続く老舗すら存在する。

 仙台には人気のラーメン店が少なくないが、仙台でラーメンを食べ歩く上で、まず最初に訪れて欲しい基本とも呼べる老舗を厳選した。仙台に行ったらまずはこの3軒からラーメンの食べ歩きを始めて欲しい。

百年続く老舗の手揉み麺『八千代軒』(1923年創業)

駐車場が常時満杯になる人気を誇る『八千代軒』。
駐車場が常時満杯になる人気を誇る『八千代軒』。

 創業は1923(大正12)年と、来年で百年を迎える老舗が『八千代軒』(宮城県仙台市若林区蒲町31-10)だ。営業時間は平日お昼時の3時間のみという、なかなかハードルの高い店だが、店内は常に満席で駐車場も満杯という超人気店。キビキビとかつ明るい接客と清潔感ある店内からも、その人気の理由が感じ取れる。

 百年続く老舗ながら、ラーメンは現代でも通用する力強い味わい。麺は2種類の小麦を配合した自家製手揉み麺。豚骨ベースのスープには鯖節も加えられていて、油も浮いて旨味に深さがある。常連客が必ず頼む自慢の一品がチャーハン。大中小と3つのサイズがあるので、ラーメンと一緒に必ず頼もう。

昭和のまま時間が止まった店『志のぶ支店 越路店』(1957年創業)

昭和の佇まいを今に残す『志のぶ支店 越路店』。
昭和の佇まいを今に残す『志のぶ支店 越路店』。

 1923(大正12)年に創業した、仙台でも屈指の老舗ラーメン店『志のぶ本店』は、百年を待たずして2021年に惜しまれつつ閉店してしまったが、その味を受け継ぐ「支店」が仙台市内に2店舗ある。1957(昭和32)年創業の『志のぶ支店 越路店』(宮城県仙台市太白区越路2-10)は、まるで昭和のまま時間が止まったような佇まいで今も営まれている。

 伝統の「中華そば」は、昔ながらのスッキリとしたスープにやや硬めの細麺の組み合わせ。具にはしっかり噛み応えのあるチャーシュー、コリコリとしたメンマ、ネギが乗る。油もまったく浮いておらず、このしつこさのない味だからこそ、老若男女幅広い客層の人たちが毎日でも食べることが出来るのだ。ラーメンの原型を垣間見ることが出来る貴重な一杯だ。

旨味あふれる熱々スープ『中華そば 富士屋』(1974年創業)

大崎市古川に本店を構える『中華そば 富士屋』。
大崎市古川に本店を構える『中華そば 富士屋』。

 仙台駅西口から歩いて10分足らず。オフィスなどが立ち並ぶ街中にある人気店が『中華そば 富士屋』(宮城県仙台市青葉区本町2-14-26)だ。1974(昭和49)年、古川市(現大崎市古川)で創業、半世紀ほど愛されている人気店の支店にあたる。雑居ビルの中にある店はお昼時ともなれば行列が絶えることがない。

 一見、昔ながらのビジュアルの中華そばながら、その味わいには力強く深い旨味がある。豚骨、鶏ガラベースの熱々スープにキレのある醤油ダレ。しっかりと茹できった細縮れ麺とスープの絡みも抜群。ワンタンメンもリピーターが多い人気の逸品だ。

 いずれの店も仙台のラーメンを語る上で欠かすことが出来ない老舗ばかり。仙台でラーメンの食べ歩きをする時には、新しい店ばかりではなく老舗も立ち寄って欲しい。仙台のラーメンの魅力がより一層深まることを約束する。

※写真は筆者によるものです。

【関連記事:絶対に食べておかねばならない 東京の醤油ラーメン「老舗」3軒

【関連記事:絶対に食べておかねばならない 青森のラーメン「基本」3軒

【関連記事:絶対に食べておかねばならない 新潟のラーメン「基本」3軒

【関連記事:絶対に食べておかねばならない 名古屋のラーメン「基本」3軒

【関連記事:絶対に食べておかねばならない 福岡の豚骨ラーメン「基本」3軒

フードジャーナリスト

フードジャーナリスト/ラーメン評論家/かき氷評論家 著書『トーキョーノスタルジックラーメン』『ラーメンマップ千葉』他/連載『シティ情報Fukuoka』/テレビ『郷愁の街角ラーメン』(BS-TBS)『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日)『ABEMA Prime』(ABEMA TV)他/オンラインサロン『山路力也の飲食店戦略ゼミ』(DMM.com)/音声メディア『美味しいラジオ』(Voicy)/ウェブ『トーキョーラーメン会議』『千葉拉麺通信』『福岡ラーメン通信』他/飲食店プロデュース・コンサルティング/「作り手の顔が見える料理」を愛し「その料理が美味しい理由」を考えながら様々な媒体で活動中。

山路力也の最近の記事