台風の停電から復旧が遅れる千葉県の状況をラーメン店主が語る

『九州ラーメン友理』(木更津市)では停電中に持ち帰りメニューを販売(写真:友理)

停電断水からの復旧が遅れている千葉県

10日夜の千葉市内。同じ町内でも通電地区と停電地区が混在している(写真:筆者)
10日夜の千葉市内。同じ町内でも通電地区と停電地区が混在している(写真:筆者)

 9日未明に上陸した台風15号の影響による千葉県の大規模停電は、上陸から6日経った14日現在においても、10万戸以上で停電が続いており復旧が遅れている。それに伴い、断水や通信障害などが起こっている地域も少なくない。

 東京電力パワーグリッドによれば、特に南房総エリア(鴨川市、館山市、南房総市など)の復旧が遅れており、これらの地域の復旧の見込みは最長で27日頃になるとしている(参考記事:毎日新聞 2019年9月14日)。

 筆者が住む千葉市でも緑区、若葉区などを中心に14日17時現在でも10,000戸以上がいまだ停電しており、12日頃までは信号機が機能していない交差点も多く、複数車線を持つ大きな交差点においては警察による交通整理がなされていた。コンビニエンスストアやショッピングセンターなども数日間休業を余儀なくされたところも多かった。

 台風直後の報道は鉄道の運休情報などに偏り、千葉の深刻な被災状況を伝えるものは少なかった。数日経ってようやく停電や断水などの状況が伝えられるようになったが、JR久留里線はいまだ終日運休のままであるし、厚生労働省の発表によれば千葉県内で停電中の病院は71病院にのぼるなど、報道で伝えられている以上に復旧への道は険しい(参考資料:厚生労働省「令和元年台風第15号による被害状況等について(第10報)」 2019年9月13日13時現在)。

発電機用のガソリン入手が困難

停電中の『まるえいラーメン』(山武市)と、発電機用に用意されたガソリン携行缶(写真:まるえいラーメン)
停電中の『まるえいラーメン』(山武市)と、発電機用に用意されたガソリン携行缶(写真:まるえいラーメン)

 いまだ全面復旧の見通しが立たない千葉県。今回県内で被害を受けたラーメン店の方々から現在の様子(13日、14日現在)を伺った。今、千葉のラーメン店はどんな状況なのだろうか。

 外房エリア、山武市のラーメン店『長浜豚骨まるえいラーメン』(千葉県山武市成東775-2)では、台風が直撃した9日未明から13日午前5時まで停電し、断水は9日午後4時から11日午後9時まで続いた。店舗脇に設置していた食材倉庫が全壊したが、店舗自体の損壊は免れた。停電から復旧した13日より営業を再開している。お客さんも徐々に戻ってきているようだ。

 「発電機を用意して、冷蔵庫と冷凍庫の食材は守りましたが、発電機に必要なガソリンを入手するのに大変苦労しました。ガソリンスタンドは長蛇の列でしたし、ガソリン携行缶には給油してくれないスタンドもありました。営業が出来ないことにより売上が途絶えてしまったことと、電気の復旧時期が未定で営業再開がいつになるか分からないことで、不安になり精神的にも参りました」(まるえいラーメン 栄浩司さん)

扇風機8台を集めて暑さ対策

『いなばのしろうさぎ』(君津市)では空調故障により扇風機をフル稼働。冷凍庫の食材も停電でダメになった(写真:いなばのしろうさぎ)
『いなばのしろうさぎ』(君津市)では空調故障により扇風機をフル稼働。冷凍庫の食材も停電でダメになった(写真:いなばのしろうさぎ)

 内房エリア、君津市の『いなばのしろうさぎ』(千葉県君津市南子安5-13-4)では、11日午前8時まで停電状態が続いたが、12日より営業を再開している。停電によって冷凍庫にストックしておいた餃子400個など食材の廃棄をしたほか、エアコン室外機の故障により扇風機を使い暑さへの対策をしている。

 「浄水場のポンプ故障による断水の情報も入りましたが、浄水場近くに店舗があるからか当店は断水にはなっていません。台風の風雨によってエアコン室外機のモーターが故障してしまいましたが、この状況下なので部品交換は来週になりそうです。対応策として扇風機を8台稼働させて営業しています」(いなばのしろうさぎ 義崎眞男さん)

停電の中で温かい料理を調理し販売

『九州ラーメン友理』(木更津市)では停電中の暗い厨房で調理した持ち帰りメニューを販売した(写真:九州ラーメン友理)
『九州ラーメン友理』(木更津市)では停電中の暗い厨房で調理した持ち帰りメニューを販売した(写真:九州ラーメン友理)

 同じく内房エリア、木更津市の『九州ラーメン友理』(千葉県木更津市港南台4-2-7)では、10日午後8時まで停電状態だったが、ガスと水道は使えたため、停電中の10日にチャーハンや焼きそば、餃子など持ち帰り専用商品のみの販売で営業を再開。12日より通常営業となっている。

 「建物自体に被害はありませんでしたが、店舗看板が倒れ、駐車場の看板は吹き飛ばされ、排煙ダクトの一部が壊れて、有線放送のアンテナが落ちました。幸いにも水道とガスは使える状態だったので、定休日の火曜日にお持ち帰りのみで営業を再開しました。出来ることだけでもと、急遽の判断ではありましたが、少しでも温かいお料理をご提供できたことは、ご近所の方々にも喜んで頂けたようで良かったです。12日より通常営業していますが、いまだ停電断水中のスタッフも出勤してくれています。お客さま同士やスタッフとの会話も今回の話題が多く、皆さんのご苦労されている様子が伺えます」(九州ラーメン友理 立野征博さん)

営業用動力が断線し営業見通し立たず

『中華そば亀喜屋』(千葉市)では倒木による断線の復旧作業が続く(写真:中華そば亀喜屋)
『中華そば亀喜屋』(千葉市)では倒木による断線の復旧作業が続く(写真:中華そば亀喜屋)

 房総エリアだけではなく、千葉市でも復旧は遅れている。千葉市の『中華そば亀喜屋』(千葉市若葉区上泉町616-4)では、倒木による断線の影響で通電しておらず、いまだ営業再開の見込みは立っていない。

 「奇跡的に店舗自体の損傷はありませんでしたが、店舗脇の倒木の影響により停電しました。12日に電力(100V)は復旧しましたが、動力(200V)がいまだ断線中のため営業が再開出来ません。5日間停電していたので、食材は全て使えなくなりました。動力が復旧しないと営業は出来ませんが、14日より仕込みを開始して16日から営業が再開出来る事を願っております」(中華そば亀喜屋 石井貴啓さん)

 千葉に台風が直撃して6日。一日も早く、また美味しくラーメンが食べられる日常が戻ることを願ってやまない。