Yahoo!ニュース

あの人気店がコラボレーションした「究極の担々麺」とは?

山路力也フードジャーナリスト
「175°DENO~担担麺~TOKYO」で人気ラーメン店たちがコラボレーション。

空前の担々麺ブームが到来している

人気ラーメン店も続々担々麺市場に参入。東京は担々麺戦国時代へと突入した。
人気ラーメン店も続々担々麺市場に参入。東京は担々麺戦国時代へと突入した。

 かつては中国料理店の一麺メニューであった担々麺だが、ここ数年都内では担々麺専門店が増加しているのをご存知だろうか。2016年には「つじ田」が「成都正宗担々麺 つじ田」(小川町)を、2017年には「渡なべ」が「六坊担担面」(池袋)と、人気ラーメン店も相次いで担々麺専門店をオープン。「蒙古タンメン中本」に端を発する「辛麺ブーム」の流れを受けた形で、東京は今空前の担々麺ブームと言ってよいだろう。

 そんな担々麺ブームに沸く東京にまた注目の担々麺専門店がオープンした。2013年の創業以来、札幌で行列を作り続ける担々麺専門店「175°DENO~担担麺~」が満を持して東京に進出したのだ。2018年1月、銀座一丁目に東京初進出店となる「175°DENO~担担麺~GINZa」をオープンさせたと思ったら、早くも2月25日には都内屈指のラーメン激戦エリア、新宿小滝橋通り沿いに「175°DENO~担担麺~TOKYO」をオープンと、ハイスピードで出店攻勢を強めている。

四川料理とラーメンが融合したオリジナルの担々麺

念願の東京進出を果たした店主の出野光浩さん。次は世界と夢は限りない。
念願の東京進出を果たした店主の出野光浩さん。次は世界と夢は限りない。

 店主の出野光浩さんは北海道出身。飲食で起業する夢を抱き上京し、中国料理店でキャリアをスタートさせた。その時にとある麻婆豆腐専門店の人気ぶりを目の当たりにし、単品で勝負する飲食店をやることを決め、さらにラーメン業界のバイタリティあふれる店主たちのパワーに刺激を受けて担々麺専門店で勝負をすることを決めた。当時人気を博していた担々麺専門店に修業を申し出るも「自分は担々麺しか教えられない。引き出しを多くする意味でもラーメン店で学んだ方がいい」とアドバイスされ、数々の人気ラーメン店で経験を積んで、2013年に地元札幌で念願の独立開業を果たした。

「175°DENO~担担麺~」の「担担麺(汁無し)」。オリジナル辣油が味の決め手。
「175°DENO~担担麺~」の「担担麺(汁無し)」。オリジナル辣油が味の決め手。

 四川省成都近郊の生産者から直接買い付けた「四川花椒」など、日本ではなかなか手に入らない香辛料を使った自家製辣油に、継ぎ足して作る胡麻ダレ、さらに北海道産鶏ガラを使用したスープや北海道産小麦を使ったオリジナル麺など、その製法やアプローチは四川料理の技術と日本のラーメン技術が融合されたもの。中国料理店から始まり、人気ラーメン店で修業を重ねた出野さんだからこそ生み出せた、四川でも日本でもないオリジナルの担々麺は一躍話題となり、現在は札幌で4店舗、新潟にも店舗を構えている。ちなみに店名の「175°」とは、辣油を仕上げる時の油の温度からつけられたものだ。

 そして今回、念願の東京進出を果たすこととなった出野さん。東京に対する思いは人一倍強い。「札幌と東京は仕事で行き来している人も多く、常連客より東京にも店を出して欲しいという声が多かったのもありますが、何より自分を職人として育ててくれた東京の人たちに恩返しがしたかったんです。師匠たちや友人たち、東京の皆さんにも自分の味を食べて欲しいと思いました。またいずれは海外進出も視野に入れているので、そのためにも東京という場所は避けては通れないと思って出店を決めました」

「せたが屋」×「大喜」×「玄瑛」×「175°DENO」

「175°DENO~担担麺~TOKYO」の「師匠コラボsio担担麺」(1,000円)
「175°DENO~担担麺~TOKYO」の「師匠コラボsio担担麺」(1,000円)

 そんな出野さんの最新店「175°DENO~担担麺~TOKYO」のオープニングを記念して、現在この店でのみ販売されている限定メニューが「師匠コラボsio担担麺」(1,000円 175°DENO~担担麺~TOKYOにて、数量限定・期間限定販売)だ。一見普通の汁あり担々麺のように見えるが、この担々麺はラーメンファンなら誰もが驚き食べたくなる、まさに「究極の担々麺」なのだ。ベースとなるスープや胡麻ダレ、辣油、さらには炒醤肉(味付けした挽肉)など、骨格となる部分は「175°DENO~担担麺~」のオリジナル。ポイントになるのは塩ダレと麺だ。

東京を代表する人気店「らーめん天神下 大喜」と「麺劇場 玄瑛」の麺を選ぶことが出来る。
東京を代表する人気店「らーめん天神下 大喜」と「麺劇場 玄瑛」の麺を選ぶことが出来る。

 塩ダレは人気ラーメン店「ラーメンせたが屋」の塩ラーメンブランド「ひるがお」で使われているものを使用。さらに麺は北海道さがみ屋製麺の175°DENOオリジナル麺の他に、「らーめん天神下 大喜」と「麺劇場 玄瑛」という人気ラーメン店の自家製麺の3種類の中から1種類を選ぶことが出来る。「せたが屋」×「大喜」×「玄瑛」×「175°DENO」という、通常ではまず考えられない奇跡のコラボレーションで生み出されたのが、この「師匠コラボsio担担麺」なのだ。

 普段は醤油ダレを使っている担々麺だが、ひるがおの塩ダレになるとその表情は一変。よりスープの旨味や胡麻の風味、さらには辣油の辛さや痺れなどがクッキリと感じられるようになっている。さらに個性がより際立つのが大喜と玄瑛の自家製麺。しなやかでしっとりとした食感の大喜と、パツンとした歯切れのある食感の玄瑛。それぞれに違った美味しさや楽しさがあり、それがどちらも175°DENOのスープにマッチしているのだから面白い。これはどちらの麺で食べるのか迷ってしまうところだ。

 「せたが屋」「大喜」「玄瑛」は、いずれも出野さんがラーメン修業時代に多くを学んだ店。自分の現在の基礎や土台を作ってくれた師匠たちのタレや麺を使って、一杯の担々麺を作りたいという思いから生まれたメニューなのだ。「師匠たちにお願いする時は緊張しました」と語る出野さんだが、師匠たちも出野さんの門出を祝してこの企画への協力を快諾。大喜の武川数勇さんは店の丼を提供し、玄瑛の入江瑛起さんはオープン日に厨房で麺上げも披露し、175°DENOの東京進出に華を添えた。

 師匠たちの熱いエールを受けて生まれた「師匠コラボsio担担麺」は、新宿の「175°DENO~担担麺~TOKYO」のみで、数量限定・期間限定で販売されている。材料がなくなり次第販売終了となるので、今しか食べられない究極の担々麺を目指して、急いで足を運んで頂きたいと思う。

※写真は筆者の撮影によるものです。

フードジャーナリスト

フードジャーナリスト/ラーメン評論家/かき氷評論家 著書『トーキョーノスタルジックラーメン』『ラーメンマップ千葉』他/連載『シティ情報Fukuoka』/テレビ『郷愁の街角ラーメン』(BS-TBS)『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日)『ABEMA Prime』(ABEMA TV)他/オンラインサロン『山路力也の飲食店戦略ゼミ』(DMM.com)/音声メディア『美味しいラジオ』(Voicy)/ウェブ『トーキョーラーメン会議』『千葉拉麺通信』『福岡ラーメン通信』他/飲食店プロデュース・コンサルティング/「作り手の顔が見える料理」を愛し「その料理が美味しい理由」を考えながら様々な媒体で活動中。

山路力也の最近の記事