【体操】加藤裕斗がコナミスポーツ入社。兄の凌平とともに五輪を目指す

順大主将として出た19年全日本団体選手権で2位になった加藤裕斗(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 見えない先行きに不安が募る今だからこそ、新たに歩み出した第一歩を大切にしたい。そんな思いを胸に、高い志を持って社会人体操の世界に足を踏み入れた選手がいる。

 4月1日、順天堂大学体操競技部で昨年度の主将を務めた加藤裕斗がコナミスポーツ株式会社に入社し、同体操競技部に加わった。

 16年リオデジャネイロ五輪で金メダルを獲得した加藤凌平の弟。4歳上の兄を追い、小・中・高から大学まですべて同じ進路を歩んだが、同じチームに所属することになるのはこれが初めてだ。

4月1日に社会人の第一歩を切った加藤裕斗(写真提供:コナミスポーツ株式会社)
4月1日に社会人の第一歩を切った加藤裕斗(写真提供:コナミスポーツ株式会社)

 コナミスポーツ体操競技部には監督を務める父・裕之氏もいる。これからは埼玉県にある同部の体育館が活動拠点。最大の目標は「オリンピックの金メダル」だ。

「幼少期から世界で活躍するコナミスポーツ体操競技部に憧れがありました。この環境で体操ができること、父、兄と一緒に戦っていけることを幸せに感じています。世界中の方々に夢を与える選手になれるよう、自分の演技を最大限に発揮しますので、ご声援のほどよろしくお願いいたします」

 裕斗は、会社やSNSを通じて決意を新たにした。

【コナミスポーツによる加藤裕斗の紹介動画では兄の凌平によるエールも見られる】

■コナミを団体日本一に

 6歳から体操をはじめ、小学3年生からコナミスポーツクラブ運動塾体操スクールの選抜クラスで本格的に競技を開始。中学校時代には、全中で個人総合と団体でいずれも3位になり、埼玉栄高校時代は3年生のときにインターハイで個人総合優勝を飾った。

 得意種目はあん馬と平行棒。兄の凌平より一回り大きな身長170センチの体格で、ダイナミックな演技を持ち味としている。順大では昨年度の主将を務め、全日本団体選手権で2位になった。

 だが、自身が出場した大会で団体日本一になったことはない。今後はまず、コナミスポーツ体操競技部の団体日本一に貢献することが大きな役割となっていくだろう。同部は09、11、13、14年に全日本団体選手権を制しているが、このところはしばらく優勝から遠ざかっている。

 裕斗自身、“強いコナミ”の復活に期待を寄せられていることを大いに心得ている。順大3年生頃まではケガに悩まされることが多かったが、昨年からケガが減って自力がついており、「団体優勝に貢献したい」という思いは強い。

2018年、ナショナルトレーニングセンターでの加藤裕斗(撮影:矢内由美子)
2018年、ナショナルトレーニングセンターでの加藤裕斗(撮影:矢内由美子)

■東日本大震災のあった11年に入社した内村航平、山室光史に続きたい

 11年3月11日に起きた東日本大震災。余震と計画停電が続き、練習がままならない時期だった同年4月1日に入社したのが、内村航平と山室光史だった。入社式で内村は「学生までは部活でしたが、これからは体操が仕事になる。妥協せずにやっていきたい」と語っていた。そして、その翌年にあったロンドン五輪で個人総合金メダルを獲得。山室もロンドン五輪、リオ五輪と2大会連続で出場し、リオでは内村や加藤凌平、田中佑典らとともに団体金メダルに輝いている。

 未曾有の大災害から9年。今年の入社式は延期となっている。人類が危機に直面している中、当然アスリートにとっても苦境が続くが、裕斗は「2人のようになれるよう、がんばりたい」と意欲を燃やしている。

 コナミスポーツには山室、田中、加藤凌平をはじめ、昨年の世界体操選手権で団体銅メダルを獲得した神本雄也も所属しており、裕斗の加入で選手層が厚くなった。

 最大のライバルは野々村笙吾や萱和磨、谷川航らが所属しているセントラルスポーツ。徳洲会や朝日生命、順大や日本体育大学なども含めて、レベルの高い争いは続いていく。いつか必ず訪れる夜明け。そのときに最大の力を発揮すべく、裕斗は粛々と己を磨いていく。

 ※日本体操協会は3月31日に開いた臨時常務理事会で、4月の全日本個人総合選手権、5月のNHK杯、6月全日本種目別選手権を開催しないと決めた。中止にするか、10月以降に延期して実施するかについては、今後判断される。