【体操】世界に飛び出した18歳の若大将。橋本大輝は団体戦で輝く

世界選手権初出場で躍動する(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 勢い満点の若大将が堂々たる世界デビューを果たした。ドイツ・シュツットガルトで行われている世界体操競技選手権の男子団体総合予選で、日本は合計258点・026点をマークして3位発進。5人のメンバーの中でフレッシュな存在感を世界にアピールしたのが、18歳の初代表・橋本大輝(市立船橋高校3年)だ。

 出場した4種目ですべて日本チームトップの得点をマークする鮮やかな世界デビューだった。

「ワクワクの方が強くてほぼ緊張はなかった」

 満面に笑みを浮かべたように、最初から最後まで輝き続けた。

 14・833の高得点をマークした1種目めのあん馬では、足先までスッと伸びた美しい姿勢と質の高い旋回で審判にアピール。E難度の下り技を難なく決めてガッツポーズを繰り出すと、手のひらを天井に向けてアップダウンさせて1万5000人のスタンドをあおるパフォーマンスを見せた。

「こういうのをやったのは初めて。会心の出来ならやろうと思っていた。会場を盛り上げて、他のみんなも会場の声援を浴びれば良い試合をできる。自分は最年少なので、そういうことで貢献したかった」

 続く跳馬では高難度の「ロペス」をしっかりまとめて14・766点。鉄棒でも14・366点と勢いを持続させ、最後のゆかでは14・433点を出した。4種目全てで日本チームトップの得点。演技の実施を評価するEスコアはすべてチーム最高だった。

 これには水鳥寿思男子強化本部長も「期待はしていたが、期待以上。Eスコアで世界的に高評価を得たのは大きな収穫。東京五輪に向けて欠かせない選手。すごい強さにワクワクした」と興奮気味にコメントした。

■鉄棒で見せた冷静な判断力

 2人の兄(拓弥さん=東海大大学院、健吾さん=東海大)を追い、6歳で体操を始めた。中学時代は骨折などのケガに泣かされたが、高校に入ってから躍進。高2だった昨年のアジアジュニア選手権で団体2位、種目別ゆか、あん馬で優勝すると、高3になった今年はシニアでも台頭。4月の全日本個人総合選手権7位、5月のNHK杯6位と順位を上げ、6月の全日本種目別選手権ではあん馬で3位になった。この成績で貢献ポイントでの初代表入り。高校生の世界選手権代表は、13、14年の白井健三以来、2人目だ。

 初の世界選手権ではしっかりと期待に応えたが、これで満足することはない。

「あん馬で14・833点が出たときに、海外で自分の体操が評価されているということが分かった。でもまだ修正できるところがある。Eスコア8・8点に満足せず、9点以上出せるようにしたい」

 冷静な判断が光る場面もあった。今夏からG難度の手放し技「カッシーナ」を入れたばかりの鉄棒だ。

「鬼門」(橋本)と考えていたこの種目で、橋本は演技の最中に下り技のひねりを1回抜くことを決めたという。その判断が功を奏した。着地では上半身をほとんど傾けずにピタリと止まった。

「鉄棒の着地を絶対に止めて、良い演技でゆかにつなげようと思った。着地を止められたことでゆかはリラックスしてできた」と振り返ったように、試合の流れを自分で作り上げていく力まで示してみせた。

↓男子団体総合予選、橋本大輝の鉄棒の演技(FIG公式)

■あん馬と鉄棒で種目別決勝に進出

 日本から駆けつけている両親もビックリの大活躍だった。

「子どものころから物怖じしない子でしたが、まさか世界選手権で観客席に向かってああいうこと(あおるパフォーマンス)をするなんて。今まで見たことはない」と母・祥子(あきこ)さんが言う。千葉の県立高校に勤める父・久一さんは「周りに支えられているから、ここまでできたのでしょう。でも、きょうは出来すぎです」と目を丸くする。

 家では3人兄弟の末っ子で、日本チームでも最年少だが、水鳥本部長は国内合宿中から「彼は若いけどしっかりしていてキャプテンタイプなんですよ」と絶賛していた。

 予選がすべておわると、あん馬と鉄棒で種目別決勝に進むことも決まった。勢い満点の若大将・橋本。まずは団体決勝で強心臓のまま突っ走るつもりだ。

 ◆橋本大輝(はしもと・だいき)2001年8月7日、千葉県出身。164cm、54kg。6歳から体操を始める。目標とするのは基本技が正確で美しい田中佑典。体操での自慢は「発想力」。

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