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NHKニュースウオッチ9 ワクチン被害の訴えを伏せて放送 BPOの調査結果は #専門家のまとめ

楊井人文弁護士
BPOの意見書の内容について報じたNHKニュースウオッチ9(12月5日放送)

NHKのニュースウオッチ9が、コロナワクチンの被害を訴える遺族を取材しておきながら、その訴えを伏せて感染死の遺族のコメントであるかのように放送した問題で、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会が調査した結果と見解を公表しました。これまでの経緯と、BPOが公表した見解のポイントがわかる記事を紹介します。

【ワンポイント解説】

NHKは当初から誤解を与える不適切な放送だったこと自体は認め、繰り返し謝罪しています。しかし、BPOの放送倫理検証委は「取材の過程でワクチン接種後に亡くなった方の遺族と認識した」などとするNHK側の説明に納得せず、独自の判断で(取材を受けた遺族からの申立てによらずに)調査を開始した経緯があります。

NHKの不自然な説明に対し、BPOがどこまで真相、真因に迫れるかが焦点でした。

(その後、遺族側は別の委員会に人権侵害救済の申立てを行い、そちらは現在審理中。今回の発表は、先に調査を開始した放送倫理検証委によるものです。)

▼5月15日、コロナ5類移行1週間を振り返る番組エンディングVTRで遺族のコメントを放送。翌日放送で謝罪

▼6月9日、NHKからの報告書は「納得するような答えがなかった」として、BPO・放送倫理検証委が審議入りを決定

▼7月21日、NHKが調査報告書とともに、取材したスタッフら4人を懲戒処分にしたと発表

▼12月5日、放送倫理検証委が意見書公表 「人の死の伝え方あまりに軽かった」と指摘

弁護士

慶應義塾大学総合政策学部卒業後、産経新聞記者を経て、2008年、弁護士登録。2012年より誤報検証サイトGoHooを運営(〜2019年)。2017年、ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)発起人、事務局長兼理事を約6年務めた。2018年、共著『ファクトチェックとは何か』出版(尾崎行雄記念財団ブックオブイヤー)。2023年、Yahoo!ニュース個人「10周年オーサースピリット賞」受賞。現在、ニュースレター「楊井人文のニュースの読み方」配信中。ベリーベスト法律事務所弁護士、日本公共利益研究所主任研究員。

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