千葉で3人死亡 危険な過積載トラックから身を守るには

過積載のトラックは横転や車線逸脱の危険が高く、大事故につながることも(写真:Shutterstock/アフロ)

 9月8日、千葉市の交差点で大型トラックの横転事故が発生し、その映像がニュースで繰り返し流されました。横倒しになった大きなトラック、荷台から落下し、路上に散乱する大量の鉄筋や鉄屑……。その下に1台の軽自動車が挟まれているとのことでしたが、救助活動は難航。結局、事故から6時間後に救出されたものの、軽自動車に乗っていた3名の方の死亡が確認されました。

 しばらくして、被害に遭われたご夫婦が、我が家の近所にお住まいの方だったことがわかり、さらにショックを受けました。何の落ち度もないのに、突然、命を奪われてしまったのです。

 翌朝のJNNニュース(9月9日)では、次のように報じられていました。

 千葉市の路上で大型トラックが横転し3人が死亡した事故で、このトラックは10トン以上の過積載だった可能性のあることが分かりました。

 自称、千葉県八千代市の会社員・在原伸悟容疑者(26)は、今月8日、千葉市の路上で大型トラックを運転して交差点を曲がろうとしたところ横転し、軽乗用車が下敷きとなりました。この事故で軽乗用車に乗っていた大網白里市の吉田亮さんら家族3人が死亡し、在原容疑者は過失運転致死の疑いで9日朝、送検されました。

 警察の取り調べに対し、在原容疑者は「鉄筋を37トン分積んだ」「荷物を積み過ぎたかもしれない」と供述しているということです。警察はトラックの総重量に対して、10トン以上の過積載の状態だった可能性もあるとみて、調べています。(2018年9月9日)

■過積載トラックはなぜ危険なのか?

 トラックやダンプ、トレーラーなどの貨物自動車には、それぞれに規定の積載重量が決められており、その重量を超えると「過積載」で取り締まりの対象となります。

 1993年には、シートベルト非着用、駐車違反とともに、「新交通三悪」のひとつとして、集中的な取り締まりの対象となりました。警察庁や国土交通省は、こうした悲惨な事故を防ぐため、大型車を扱う事業者や運転者に対し、今も繰り返し「過積載をしないように」と指導し、取り締まりを行っています。

警察庁・国土交通省のリーフレットより
警察庁・国土交通省のリーフレットより

 

 それでも、違反はなかなか減りません。今回の事故を見てもわかるとおり、一回で多くの積み荷を運んだ方が効率的なのでしょう。悪質な過積載トラックによる同様の重大事故は、繰り返し起こっています。 

 早速、過去の新聞記事や判例等で、過積載のトラックのやトレーラーによる死亡事故を検索してみました。

●過積載の大型トレーラー横転 20歳の女性歩行者が死亡

2006年7月、静岡市の国道1号バイパスで過積載の大型トレーラーが横転し、20歳の女性歩行者が下敷きになって死亡。静岡地裁は、トレーラーが過積載状態だったこと、横転しない速度の限界を超えて右折を行っていたという検察側の主張を採用。懲役2年6カ月の実刑を命じた。(日本計量新報社より)

●過積載トレーラーの積み荷が落下、対向車を直撃

2017年3月、兵庫県篠山市の県道でトレーラーの積み荷が落下、対向車を直撃し女性2名死傷。トレーラーは最大積載量が約28トンにも関わらず、約34トンの積み荷を載せていた。捜査の結果、約9トンの積み荷が2個落下し、1個が直撃したと判明した。(産経新聞2017年12月6日より)

●東海北陸道で7人死亡 タイヤ破裂、過積載が原因か

2004年7月、岐阜県郡上市の平山トンネル出口付近でトラックと乗用車が正面衝突。乗用車の一家5人とトラックの2人の計7人が死亡。事故を起こしたトラックは、最大積載量の約1.5倍にあたる約4.5トンの建築資材を載せて走行していた。県警は過積載がパンクを引き起こしハンドル操作が不能となった可能性もあるとみている。(日本計量新報社より)

●過積載・飲酒・脇見運転で追突 乗用車4人死亡

2001年12月、香川県高松市の県道で、大型保冷車が信号待ちの乗用車に追突。乗用車は前に停止していた大型トラックとの間に挟まれ、母娘2組4人が死亡。保冷車の運転手に対し、高松地裁は禁固4年の実刑判決を言い渡した。(日本計量新報社より)

 

 多くの方が、理不尽で、不可抗力の事故に巻き込まれてきたことがよくわかりますが、これらは氷山の一角です。

 「過積載」がトラックやトレーラーなど大型車両に生じさせる「危険」としては、次のようなことが挙げられます。

1) 制動距離が長くなる。→ 車両重量が重くなればなるほど、ブレーキが利きづらくなります。

2) 衝突時の衝撃力が大きくなる。→ 万一の衝突事故のとき、被害が甚大になります。

3) 積み荷が多くなると重心が高くなり、バランスを崩しやすくなる。→ 横転や車線のはみだしのリスクが高まります。

4) 下り坂でブレーキが利かなくなる。→ 重量があると下り勾配でスピードが出やすくなり、ブレーキライニングが加熱して制動不能になる恐れがあります。

 こうして見ていくと、過積載の大型車がいかに周囲のクルマや歩行者を重大事故に巻き込む危険性が高いかがよくわかります。

■過積載のトラックを見つけたら、とにかく距離を置くこと

 私は長年、大型バイクに乗ってきました。言うまでもなく、バイクは身体をむき出しにして走っていますので、積み荷の落下や大型車両の横転などに巻き込まれたらひとたまりもありません。

 もちろん、今回の事故のように、信号待ちをしているところに突っ込まれてしまったら避けようがありません。しかし、もしあなたが走行中に、荷物を無造作に山積みにしたような、見るからに危険なトラックを見つけたらどうすべきでしょうか? そのときは、とにかくその車のすぐ後ろを走ることを避け、できるだけ離れることが鉄則です。

 また、追い越せるゆとりがある場合は、いっきに追い越して、その車より数台以上前を走りましょう。過積載のトラックはブレーキの利きが悪くなるので、すぐ前は追突される危険があります。

 もし、追い越しや追い抜きができない場合は、とにかく車間距離を取ってください。

バイクで走行中、前に大型車がいる場合は、積み荷の状態などを常にチェックしながら、安全な走行ラインを模索します(筆者撮影/ドイツ・アウトバーンにて)
バイクで走行中、前に大型車がいる場合は、積み荷の状態などを常にチェックしながら、安全な走行ラインを模索します(筆者撮影/ドイツ・アウトバーンにて)

 実は、私自身、こんな経験があります。

 バイクで北海道へ取材に行ったときのこと、目の前を走るトラックの荷台を見ると、廃棄処分にするような交通標識が、あおり(トラックの荷台の枠)をはみ出して山積みにされていました。それが全く固定されておらず、見るからに危険な状態だったのです。

 なんとか追い抜いて前へ出たいと思うのですが、対向車がどんどん走ってきます。

 仕方がありません、とりあえず思いきり車間を取るしかありませんでした。

 不安を抱えながらそのまましばらく走り続けていると、なんと、路面の凹凸の衝撃を受けたそのトラックの荷台から、突然、柱の付いた大きな交通標識が飛び出して、目の前に落下したのです! 

 思わず叫び声を上げました。本当に、心臓が凍り付きました。もし、車間距離を取っていなかったら、大変なことになっていました。

 ライダーの人たちは皆、こういう経験を積みながら、周囲の車の積み荷の状態に気を配って走ってきていると思います。過積載の車両から離れることは常識ですし、身についているでしょう。

 車に乗っている方々も、万一のときには大事故に巻き込まれかねません。とにかくそういう車両が視界に入ったら、離れることを心掛けてください。時間にゆとりがあるなら、しばらく停止したり休憩したりして、危険なトラックとは大きく距離を開けることをおすすめします。

高速走行では前方に危険な車がいないかどうかを確認しながら、とにかく車間距離を取ることが大切です。あ! 速度メーターを見て驚かないでくださいね。これは日本で走ったときのものではありません……(筆者撮影/ドイツ・アウトバーンにて)
高速走行では前方に危険な車がいないかどうかを確認しながら、とにかく車間距離を取ることが大切です。あ! 速度メーターを見て驚かないでくださいね。これは日本で走ったときのものではありません……(筆者撮影/ドイツ・アウトバーンにて)

 なにより、大型車を扱う事業者や運転者の方々には、絶対に過積載はやめていただくようお願いします。

 悪質な事業者に雇用されているドライバーが不本意なかたちで過積載での仕事を強いられる、もしくは、過積載であることにすら気づかず運転業務をさせられる……、その結果、大事故の加害者になってしまうという現実も看過できません。

 この問題も大変深刻ですので、また機会があれば追及したいと思います。

警察庁・国土交通省リーフレットより
警察庁・国土交通省リーフレットより