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【延期】EXTREME THE DOJO連続開催。エクストリーム・ミュージック轟音の春・惨劇の春

山崎智之音楽ライター
NAPALM DEATH / photo by 岸田鉄平

【2019年4月6日追記】

2019年4月6日、以下の発表がありました。

日本ツアー延期のお知らせ

Extreme the DOJO vol.33 feat.Philip H. Anselmo & The Illegals/ KING PARROT/ PALMの来日公演は、Philip H. Anselmo並びにThe Illegalsのメンバーの急病により、渡航及び演奏をする事が困難となりました為、残念ながら公演延期とさせて頂きます。

現在各アーティスト側と振替公演の日程調整を始めております。

振替日程が調整出来次第、後日改めて発表させて頂きます。

お手持ちのチケットは振替公演にそのまま有効となりますので、紛失されないよう大切に保管して下さい。

払い戻しをご希望のお客様に関しましても、改めて払い戻し方法を発表させて頂きますのでチケットは大切に保管をお願い致します。

今回の公演を楽しみに待っていてくださったお客様、並びに関係者の皆様方に深くお詫び申し上げます。

SMASH : 03-3444-6751

https://smash-jpn.com

詳細:  https://smash-jpn.com/live/?id=3096

【以下は2019年4月4日配信の記事です。】

地獄の扉が開け放たれ、エクストリーム・ミュージックの魔獣たちが噴き出す。

2001年にスタートしたライヴ・イベントEXTREME THE DOJOには、デス・メタルやブラック・メタル、ドゥーム・メタル、グラインドコアなど、あらゆるエクストリームなヘヴィ・ロック・バンドが出演、数多くの伝説を生んできた。アンスラックスやエクソダス、ケルティック・フロストなどの大御所から、ハイ・オン・ファイアーやマストドンなど後にグラミー賞を獲得したバンドまでが出演。AxCxのセス・パットナムやナザムのミエツコ・タラーツィクのように、この世から去ってしまった人もEXTREME THE DOJOのステージに上がってきた。

2013年に開催されたVol.31以来、約6年のあいだ封印されてきたEXTREME THE DOJOが2019年に入って復活。3月にVol.32、4月にVol.33という怒濤の連打が実現することになった。

●EXTREME THE DOJO Vol.32

NAPALM DEATH / EYEHATEGOD / MISERY INDEX / MELT-BANANA

2019年3月6日(水)東京・渋谷CLUB

平日、しかも午後6時半という早めの開演時間ながら、DOJOの復活を待ちわびた観客でフロアはほぼ埋まっている。MELT BANANAはそんな彼らにいきなり急襲をかけた。

2人のミニマルな構成となって久しい彼らだが、その攻撃力はいつもマキシマルだ。ヴォーカルのYAKOがサンプラーのコントローラーを手にし、ギターのAGATAが轟音とテクスチャーで、濃密度な演奏を披露、我々の知るEXTREME THE DOJOが一気に蘇った。

MELT BANANA / photo by 岸田鉄平
MELT BANANA / photo by 岸田鉄平

ミザリー・インデックスは王道デス・メタルを軸足にグラインドコアなアプローチも加えた、理不尽なまでのブルータル・サウンドで観客一人ひとりの顔面を殴打する。2009年のEXTREME THE DOJO Vol.22から10年ぶりの日本来襲は、彼らの殺傷力がいささかも衰えていないことを証明する強烈な一撃だった。

MISERY INDEX / photo by 岸田鉄平
MISERY INDEX / photo by 岸田鉄平

2002年のEXTREME THE DOJO以来、17年ぶりとなるアイヘイトゴッドの来日が実現したのは、ひとつの“事件”だった。

陰惨かつ厭世的な世界観を提示する彼らのスラッジ・ドゥームは、聴く者をニューオリンズの泥濘にズブズブと沈めていく。期待が膨れあがり過ぎたのか、約50分のライヴはあっという間に終わってしまったし、もっと音量で圧倒して欲しかったが、ジミー・バウワーの極太グルーヴ・ギター、ヴォーカリストのマイク・IX・ウィリアムズの妖気漂う存在感などはオリジネイターならではの凄味をたたえていた。

「ラック・オブ・オールモスト・エヴリシング」から「ニューオリンズ・イズ・ザ・ニュー・ヴェトナム」まで新旧取りそろえたセットリストも、彼らがアンダーグラウンドで築き上げてきた足跡を再認識させるものだった。

EYEHATEGOD / photo by 岸田鉄平
EYEHATEGOD / photo by 岸田鉄平

そしてナパーム・デスはEXTREME THE DOJOの完全復活を象徴する超弩級のステージで締め括ってくれた。

頻繁に来日公演を行っている彼らのライヴは常にすべてを蹂躙する。言語の壁もあり、そのメッセージ性は日本ではなかなか伝わりにくいものの(さらに言えばバーニー・グリーンウェイのステージMCも何を言っているのか判らないことがある)、その怒りは音の塊となって観衆に浴びせかけられる。

後半戦には1987年のイギリス音楽最大の革命のひとつだったファースト・アルバム『スカム』から「スカム」「ライフ?」「ザ・ディシーヴァー」「ザ・キル」「ユー・サファー」が畳みかけるように襲いくる。今やデッド・ケネディーズのカヴァー...というよりナパーム・デスを代表するクラシックスのひとつである「ナチ・パンクス・ファック・オフ」も凄まじい声援で迎えられた。

NAPALM DEATH / photo by 岸田鉄平
NAPALM DEATH / photo by 岸田鉄平

●EXTREME THE DOJO Vol.33

PHILIP H. ANSELMO & THE ILLEGALS / KING PARROT / PALM

いよいよ目前に迫ったEXTREME THE DOJO Vol.33。出演ラインアップを見るだけで、主催者側が“殺し”に来ていることが伝わっている。

フィル・アンセルモ率いるフィリップ・H・アンセルモ& ジ・イリーガルズは“plays PANTERA songs”とサブタイトルが付けられており、直前に行われたオーストラリア・ツアーではライヴの半分以上がパンテラ時代のナンバー。「マウス・フォー・ウォー」「ウォーク」「ビカミング」「ファッキング・ホスタイル」などのクラシックスがプレイされた。

オーストラリアのデス・グラインド・バンド:キング・パロット、大阪から日本全土を阿鼻叫喚の焦土にするハードコア/メタル・バンドのPALMという布陣。米豪日のトライアングルが織り成すステージは血を見ずには終わらないだろう。

轟音の春・惨劇の春。EXTREME THE DOJOは、分け隔てなく襲撃する。

courtesy of SMASH CORPORATION
courtesy of SMASH CORPORATION

EXTREME THE DOJO Vol.33

PHILIP H. ANSELMO & THE ILLEGALS / KING PARROT / PALM

- 2019/4/8 (Mon) 東京 恵比寿 LIQUIDROOM

OPEN 18:00 START 19:00

- 2019/4/9 (Tue) 大阪 Umeda CLUB QUATTRO

OPEN 18:00 START 19:00

https://smash-jpn.com/live/?id=3096

関連記事: エクストリーム・ミュージックの祭典EXTREME THE DOJOが復活。2019年3月&4月に開催

https://news.yahoo.co.jp/byline/yamazakitomoyuki/20190303-00116816/

音楽ライター

1970年、東京生まれの音楽ライター。ベルギー、オランダ、チェコスロバキア(当時)、イギリスで育つ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、一般企業勤務を経て、1994年に音楽ライターに。ミュージシャンを中心に1,200以上のインタビューを行い、雑誌や書籍、CDライナーノーツなどで執筆活動を行う。『ロックで学ぶ世界史』『ダークサイド・オブ・ロック』『激重轟音メタル・ディスク・ガイド』『ロック・ムービー・クロニクル』などを総監修・執筆。実用英検1級、TOEIC945点取得。

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