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新NISA 毎月の積み立て額は「4万円」 楽天ユーザーの動向

山口健太ITジャーナリスト
新NISA 毎月の積み立て額は「4万円」(楽天証券提供資料より、筆者作成)

2月9日、楽天証券の2023年12月期決算説明会では、1月に始まった新NISAの利用動向が明らかになりました。

毎月の平均積み立て額は4万円と約1.7倍に増えており、関心の高まりがうかがえる結果になっています。

毎月の平均積み立て額は「4万円」

2023年12月の時点で楽天証券の口座数は1000万を突破していましたが、12月末時点では1020万口座に。さらに2024年1月末時点の最新の数字は1048万口座と、伸びが続いていることが分かります。

楽天証券が「証券単体」で国内最多としているのに対し、SBI証券は2月5日にグループ証券各社の合計で1200万口座に達したことを発表。業界では依然として2強の状態が続いています。

筆者は両方の口座を持っていますが、NISA口座は1人につき1つしか開設できません。楽天証券の場合、NISA口座は11月末の500万口座から12月末時点で515万口座、2024年1月末時点では524万口座と、こちらも高いペースで増加が続いているようです。

かつて証券会社の客層といえば中高年男性が多かったのに対し、新NISA口座開設者の属性は、20代以下と30代の合計が52.7%を、そして女性が54.4%を占めていることも印象的といえます。

若い世代と女性の比率が高まっている(楽天証券提供資料より)
若い世代と女性の比率が高まっている(楽天証券提供資料より)

また、昨年12月には楽天市場の「SPU」や楽天プレミアムカードの特典に変更があったものの、楽天証券としては「目立った動きはなく、ほぼ影響はなかった」(楽天証券 代表取締役社長の楠雄治氏)としています。

さて、積み立て投資をしている人にとって興味深い数字といえるのが、楽天証券の利用者が新NISA口座で毎月積み立てている平均金額です。

2023年までの「つみたてNISA」では、この金額は12月末時点で「2万4021円」となっていました。内訳は3万円超が47%と、半数近い人が3万3333円(年40万円)の上限に達していたことが分かります。

2023年までのつみたてNISAのデータ(楽天証券提供資料より)
2023年までのつみたてNISAのデータ(楽天証券提供資料より)

これが2024年からの新NISAでは、つみたて投資枠の設定額が1月末時点で「4万108円」と、約1.7倍に増えたとしています。

新NISAでは月4万円に増えている(楽天証券提供資料より)
新NISAでは月4万円に増えている(楽天証券提供資料より)

内訳を見ると、合計で64%の人は積み立て額が3万3333円以下にとどまっており、新NISAになっても同程度の金額で続けている人が多いと考えられます。

逆に、3万3333円超〜5万円以下は16%、5万円超〜10万円以下は20%と、合計36%の人は新NISAで増えた枠をしっかり活用していることがうかがえます。

なお、これは幅広い層が利用するNISAにおける平均値に過ぎない点には注意が必要です。特に若年層の場合は、金融商品よりも自分のために投資したほうが将来につながる可能性があると筆者は考えています。

それでも毎月4万円を積み立てていけば、年間の利回りを7%とした場合、20年の複利で2000万円を超える計算になることから、本格的な資産形成に取り組むのであれば目安になる数字といえそうです。

カード投信積立 月10万円化にも対応へ

新NISAの枠をフルに活用したい人にとって、次のマイルストーンになりそうなのがカード投信積立の上限金額を「月10万円」に引き上げる動きです。

現行の枠組みのまま月10万円を実現するサービスも出てきていますが、内閣府令の改正により、どの証券会社でも提供しやすくなる見込みで、SBI証券マネックス証券auカブコム証券が対応を表明しています。

今回の決算説明会では、楽天証券もこれに対応していく方針であること、またポイント還元についても見直しの予定はなく、「使った金額に対する還元を一貫して進めていきたい」(楠氏)との意向が語られています。

楽天証券では、楽天カードと楽天キャッシュの合計で月10万円の積み立てに対応してきたものの、この点については法令改正により他社に追い付かれる可能性が出てきたといえます。

一方、決済手段として楽天カードだけでなく残高の入手方法が多彩な楽天キャッシュを使えること、またポイント経済圏との連携という点は、引き続き楽天証券の強みになりそうです。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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