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Threadsがメタにもたらす収益はどれくらい?

山口健太ITジャーナリスト
Threadsのユーザー数は1億人に(ザッカーバーグ氏の投稿より、筆者撮影)

メタが始めた新アプリ「Threads(スレッズ)」のユーザー数が1億人に達したことが話題になっています。

まだ収益化は始まっていないものの、将来的にはメタにどれくらいの収益をもたらすのか、予想する動きが出てきています。

短期的にはマイナスもあり得る?

ThreadsはInstagramの新しいアプリという位置付けです。Instagramの月間アクティブユーザー数は20億人とされていることから、Threadsにはその20分の1が登録した計算になります。

Threadsの登録者数は5日で1億人に到達。広告などに頼らない自然発生的な成長としている(ザッカーバーグ氏の投稿より)
Threadsの登録者数は5日で1億人に到達。広告などに頼らない自然発生的な成長としている(ザッカーバーグ氏の投稿より)

Threadsのアカウント登録はインスタと連携するだけなので簡単とはいえ、新たにアプリのダウンロードが必要であることを考えれば、その増加ペースは驚異的といえます。

Twitterの最新のアクティブユーザー数は公開されていないものの、2〜3億人程度とみられています。Threadsがこれを上回ってくる可能性は十分にありそうです。

一方、Twitterで話題となったAPI制限はかなり緩和された印象があり、ここ数日は筆者が使っている範囲ではアプリ、Web、TweetDeckともに制限はかかっていません。

Threadsへの機能追加によってまた状況が変わる可能性はあるものの、現時点ではそれぞれのSNSでうまく棲み分ける傾向があるように思います。

今後、Threadsが一定のアクティブな利用者を抱えると仮定した場合、メタにどれくらいの収益をもたらす可能性があるのでしょうか。

現時点でThreadsに広告は表示されず、まだ収益化は始まっていないようです。しかし米Bloombergはアナリストの予想を引用する形で、今後2年間でThreadsは年間80億ドル(約1.1兆円)の収益をもたらす可能性があると報じています。

メタの2022年の売上高が1166億ドル(約16兆円)であることを考えれば、それほど大きな金額ではないものの、広告主がTwitter向けの広告予算の一部をThreadsに振り向けるとすれば、まずは成功といえるでしょう。

一方で、Threadsの収益化が遅れた場合、短期的には収益に悪影響をもたらす可能性もあります。この現象はショート動画ですでに起きています。

最近のInstagramはショート動画(リール)に注力していますが、通常のフィードに比べて、ショート動画は収益化が遅れていました。

そのためユーザーがショート動画を見れば見るほど、通常のフィードを見る時間が減り、収益は下がってしまうというわけです。

同様のことはYouTubeショートとYouTubeの通常動画でも起きており、国内ではUUUMが業績予想を下方修正したことが話題になっています。

これをThreadsに置き換えてみると、収益につながらないThreadsの利用が増えれば増えるほど、インスタを利用する時間は減り、短期的には収益が下がる可能性があります。

時間の奪い合い競争が激化

SNSや動画などのサービスではユーザーの時間の奪い合いになっており、新しいアプリの利用が増えると、他のアプリの利用時間が減ることになります。

この点についてTwitterの経営陣は興味深い発言をしており、実際にアプリを使った時間(スクリーンタイム)の長さを強調。CEOのリンダ・ヤッカリーノ氏によれば2月以降で最長になったといいます。

これは過去にTwitterが重視してきた「mDAU」(収益につながる日次のアクティブユーザー数)とは異なる、新しい指標であるとの指摘もあります。

こうした利用時間の競争で重要になってくるのが、タイムラインやフィードにおける「おすすめ」表示です。AIを駆使して面白い投稿を出し続けることで、ユーザーを画面に惹き付ける競争が激しくなりそうです。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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