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中古で人気のiPhone 8 「ソフトの寿命」に注意

山口健太ITジャーナリスト
iPhone 8(アップル提供資料)

6月5日(米国時間)にアップルが発表した「iOS 17」では、iPhone 8が対応機種リストから外れたことが明らかになりました。

日本の中古市場では売上ランキングでトップクラスに位置している人気機種だけに、大きな影響がありそうです。

iPhone 8が対応機種から外れる

アップルは毎年秋にiOSの新バージョンをリリースしており、2023年秋にはiOS 17が提供されます。

iOSの新バージョンでは、新たな機能などが追加されるとともに、古い端末のサポートが終了することがたびたび話題になっています。

2022年のiOS 16では、ベストセラー機だった第1世代iPhone SEやiPhone 7が非対応となりました。

そして2023年のiOS 17では、2017年に発売されたiPhone 8、その大画面版のiPhone 8 Plus、初めて全画面デザインを採用したiPhone Xが非対応になります。

iOS 17の画面(アップル提供資料)
iOS 17の画面(アップル提供資料)

特にiPhone 8は、中古市場では2万円前後から購入できるモデルとして高い人気を誇っています。

中古スマホの販売サイト「にこスマ」では、iPhone 8の64GBモデルが2022年の販売数ランキングで1位になっています。2023年4月も1位でした。

中古整備品(リファービッシュ)を取り扱う「Back Market」でも、iPhone 8はベストセラーとなっています。

携帯キャリアの割引を活用すれば、より新しいモデルを安価に入手できる機会はあるものの、面倒なことが嫌いな人や、端末だけ欲しい人に根強い需要があるようです。

このことから、iPhone 8は日本で最もスタンダードなスマホではないかと筆者は考えています。

iOS 17が出た後も、iOS 16のままセキュリティに関するアップデートだけを適用しながら使うことはできるため、ただちに問題が発生するわけではありませんが、製品としての寿命は近づいていると考えてよいでしょう。

いまから中古のiPhone 8を買うのであれば、数千円程度高くなりますが、2020年に発売された第2世代のiPhone SEをおすすめします。形状や使い勝手はiPhone 8と同じで、プロセッサーは2世代新しい機種になります。

また、iPhone 8と同じ形状で最も新しい機種は第3世代のiPhone SEです。この機種は現行モデルのiPhone 14と同じプロセッサーを搭載しており、長期にわたって使えることが期待できます。

ハードの寿命だけでなく「ソフトの寿命」にも注意

かつては2年程度だったスマホの買い替えサイクルは、3年〜4年以上に長くなる傾向にあることから、アップルはiPhoneの買い替えを促すだけでなく、より長く使える仕組みを提供しています。

最近はAndroidでも複数回のOSアップデートを保証する機種が増えていますが、iPhoneのサポートはさらに長く、iPhone 8は「iOS 11」から「iOS 16」まで5回の大きなアップデートが提供されたことになります。

ただ、家電製品とは異なり、スマホやパソコンは電源が入って問題なく動いているように見えたとしても、ソフトウェア的に寿命を迎えることがある点には注意が必要です。

中古品や整備品の市場を探してみると状態の良いモデルを安価に買えることがあり、それ自体はおトクですが、発売から時間が経っているものはソフトウェアの寿命を考慮したほうがよいでしょう。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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