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ゆうちょ銀行も対応 「スマホATM」の便利さを実感

山口健太ITジャーナリスト
スマホでATM入出金に対応(ゆうちょ通帳アプリより、筆者撮影)

5月15日から、ゆうちょ銀行のATMでキャッシュカードを使わずにスマホアプリだけで入出金できるサービスが始まりました。

ネット銀行ではすでに珍しくない機能ですが、ゆうちょ銀行の使い勝手はどうなのか、実際に試してみました。

スマホだけで現金を引き出せるように

銀行のATMといえば、キャッシュカードと暗証番号を使って操作するのが一般的でしょう。

しかし最近、このキャッシュカードと暗証番号をスマホのアプリで代用できる「スマホATM」サービスを提供する銀行が増えています。

各銀行が提供するアプリからATMの画面に表示されたQRコードを読み取ることで、口座の持ち主であることを確認する仕組みです。

今回、ゆうちょ銀行が新たに対応したので、実際に試してみました。使い方は動画による解説があります。

まずはアプリの準備です。ゆうちょ銀行のメインアプリである「ゆうちょ通帳アプリ」と、ログイン時のセキュリティを強化できる「ゆうちょ認証アプリ」の両方を設定しておきます。

ゆうちょ認証アプリでは、オンライン本人確認(eKYC)を通して身分証明書とカメラを通した本人の顔画像を登録。アプリの利用者が口座の持ち主であることを確認しています。

このスマホがあれば、ゆうちょ銀行のATMから入出金ができます。郵便局だけでなく、ショッピングモールやファミリーマートのATMにも対応しているようです。

ATMの最初の画面、または「引き出し」などを選んだときに表示される画面に、「スマートフォンでのお取引」のメニューが加わっています。

ゆうちょ銀行のATMで「引き出し」を選択したところ。スマホでの取引が追加されている(筆者撮影)
ゆうちょ銀行のATMで「引き出し」を選択したところ。スマホでの取引が追加されている(筆者撮影)

ATMによっては最初からスマホ取引が表示されている(筆者撮影)
ATMによっては最初からスマホ取引が表示されている(筆者撮影)

この後、ATMの画面に表示されるQRコードをスマホアプリから読み取ります。

QRコードを読み取るためのカメラは、ゆうちょ通帳アプリの「送金支払」画面から、「ATM入出金」タブを開くことで使えます。

「ATM入出金」タブからQRコードを読み取れる(ゆうちょ通帳アプリより、筆者作成)
「ATM入出金」タブからQRコードを読み取れる(ゆうちょ通帳アプリより、筆者作成)

あとは画面の指示に従っていくことで、現金を引き出すことができました。

注意点として、ゆうちょ銀行のキャッシュカードはさまざまな金融機関のATMに対応していますが、スマホATMに対応しているのはゆうちょ銀行のATMのみです。

ほかのネット銀行ではセブン銀行やローソン銀行のATMで使えるスマホATM機能を提供していますが、ゆうちょ銀行との互換性はないようです。

念のため、ゆうちょ銀行のアプリでセブン銀行のATM、住信SBIネット銀行のアプリでゆうちょ銀行のATMからQRコードを読ませてみたものの、エラーになって動作しませんでした。

そのため、どのコンビニでもスマホATMを使えるようにするには、ゆうちょ銀行とほかのネット銀行の口座を併用するとよいでしょう。

スマホATMに対応した住信SBIネット銀行auじぶん銀行PayPay銀行などの口座にお金を置いておけば、セブン-イレブンとローソンのATMから現金を引き出せます。

さらにゆうちょ銀行にも口座があれば、ファミリーマートを含む大手コンビニ3社のATMからスマホだけで現金を引き出せるようになる、というわけです。

一方、ゆうちょ銀行側としては、ATMで故障する箇所の1つであるキャッシュカードの出し入れを減らすことでメンテナンスコストを減らしたり、現在は任意となっているゆうちょ認証アプリの利用者を増やしたりする効果がありそうです。

現金やカード類を持ち歩きたくない人にもおすすめ

スマホATMの良いところは、キャッシュカードを持ち歩くことなく、必要なときに現金にアクセスできるという点です。

本来であれば現金が必要になる場面が減ってほしいところではありますが、筆者は持ち歩く現金やカード類を少しでも減らしたいと思っているので、助かっています。

セキュリティ面では、キャッシュカードにもICチップの搭載は進んでいるものの、スマホアプリは本人しか使えない生体認証で守られています。また、ゆうちょ認証アプリでは別途4桁のパスコードも設定できます。

画面の作りに多少気になるところはありますが、ゆうちょ銀行を使っている人ならいざというときのために設定しておいて損はない機能といえます。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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