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iPhone 14 Proは期待通りか? 発売日レビュー

山口健太ITジャーナリスト
9月16日に発売された最新の「iPhone 14」(評価用端末、筆者撮影)

9月16日、いよいよiPhone 14が発売されました。今年はiPhone 14 Proが「買い」といわれていますが、本当にそうなのでしょうか。各モデルの評価端末を試用した第一印象をまとめました。

iPhone 14 Proは期待通りか

今回発売されたiPhoneは、「iPhone 14」「iPhone 14 Pro」「iPhone 14 Pro Max」の3モデルです。10月7日には「iPhone 14 Plus」の発売を控えており、こちらは再び話題になりそうです。

スマホとしての基本デザインはiPhone 13世代を踏襲しています。Proシリーズの新色「ディープパープル」は上品で落ち着いた印象があり、幅広いシーンに馴染みそうです。

今回もProシリーズの側面は鏡面仕上げで美しいのですが、指紋が目立ちやすい点は変わっていません。ケースを装着すると隠れてしまう部分でもあることから、個人的にはiPhone 14のマットな質感で十分だと思っています。

Proシリーズは鏡面仕上げで高級感がある。ただし指紋は目立ちやすい(筆者撮影)
Proシリーズは鏡面仕上げで高級感がある。ただし指紋は目立ちやすい(筆者撮影)

Proシリーズのインカメラ部分に搭載された「Dynamic Island(ダイナミックアイランド)」は、発表イベントで見た通りの滑らかな動きです。

音楽の再生中に別のアプリに切り替えると小さなコントロールになります。タップすると音楽アプリに戻り、長押しするとコントロールが大きくなります。

ProシリーズのDynamic Island。再生中の音楽が小さく表示される。YouTube Musicも対応済み(筆者撮影)
ProシリーズのDynamic Island。再生中の音楽が小さく表示される。YouTube Musicも対応済み(筆者撮影)

アイランドを長押しすると大きなコントロールになる(筆者撮影)
アイランドを長押しすると大きなコントロールになる(筆者撮影)

標準のアプリ以外でも、特定のAPI(Now PlayingやCallKit)を使っているアプリならアイランドを利用できます。たとえば「YouTube Music」のアプリはすでに対応していました。

ほかにも、iPhoneの充電が始まったとき、消音スイッチをオンにしたとき、Face IDで認証したときなど、画面上部に出る通知はアイランドを有効活用するようになっています。

気になる点として、アイランドにはインカメラがあるため、指で触れる際に指紋や皮脂がつくことがあります。カメラのレンズに触れたくない人にとっては、あまり嬉しくない機能かもしれません。

インカメラのレンズに指が触れてしまうことが多いようだ(筆者撮影)
インカメラのレンズに指が触れてしまうことが多いようだ(筆者撮影)

新機能として、Proシリーズは「常時表示」にも対応しました。これまでのiPhoneは時間がたつと画面が消えて真っ黒になっていましたが、iPhone 14 Proでは画面がやや暗くなるだけで、時計やウィジェットの表示は消えずに残ります。

常時表示では画面がやや暗くなるが、完全にオフにはならない(筆者撮影)
常時表示では画面がやや暗くなるが、完全にオフにはならない(筆者撮影)

この常時表示の画面にも、再生中の音楽のジャケットとコントロールが表示されます。ダイナミックアイランドとあわせて、音楽プレイヤーとしての使い勝手は大幅に向上している印象です。

なお、iOS 16ではiPhone 13シリーズ以降の機種で、横向きの状態でFace IDが使えるようになりました。横向きでアプリを使っているとき、縦向きにする必要がなく便利です。

しかしロック画面は横向きに対応しておらず、常時表示でも時計の向きは変わりません。設定で常時表示をオフにすることはできますが、やや残念なところです。

常時表示がオンの状態で横向きにしても時計の向きは変わらない(筆者撮影)
常時表示がオンの状態で横向きにしても時計の向きは変わらない(筆者撮影)

Proシリーズのカメラアプリには「2倍」の選択肢が加わっています。iPhone 13 Proでは光学3倍のカメラを活用しつつ、2倍で撮るときはデジタルズームになっていました。

これに対してiPhone 14 Proでは、センサーの中央部分を使ったフルサイズでの「光学2倍相当」の撮影に対応しました。卓上の料理を撮る場合などに便利な2倍の画質が上がったのは嬉しい点です。

追記:

アップルは「光学2倍望遠を搭載」と説明していますが、センサーの中央部分のみを使用する方式は、一般的なカメラにおける光学2倍とは異なるとの指摘があることから、「光学2倍相当」としました。

光学2倍の撮影に新たに対応(筆者撮影)
光学2倍の撮影に新たに対応(筆者撮影)

ただ、カメラは今回も大きく出っ張っており、テーブルの上に置くと安定しません。この点が気になるならケースは必須といえそうです。

「iPhone体験」は確実に向上

iPhoneはすでに成熟しているといわれており、iPhone 14 Proの新機能も派手なものではありませんが、それらを組み合わせた「iPhone体験」は確実に向上していることが分かります。

この観点から、iPhone 14とiPhone 14 Proのどちらを選ぶか考えると、やはりiPhone 14 Proに魅力を感じるところです。

一方で、USB-CではなくLightningの採用を続けており、Lightningの転送速度はiPhone 13世代から変わっていないなど、そろそろ見直しを期待したい点もあります。

リセールバリューが高いうちに買い換えるという手はありますが、長く使うことを考えると悩ましいタイミングです。もしProシリーズが少し高く感じるのであれば、ダイナミックアイランドが全モデルに展開されるまで待ってみてもいいかもしれません。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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