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普通のスマホと何が違う? 約20万円のプロ向けXperiaが登場

山口健太ITジャーナリスト
1型センサー搭載「Xperia PRO-I」発表(ソニー提供資料)

ソニーのティザー広告で期待が高まっていたスマホ新製品「Xperia PRO-I」が、いよいよ10月26日に正式発表されました。高級コンデジと同じ1型センサーを搭載し、カメラにこだわる人に特化した「プロ仕様」。価格は税込19万8000円です。

PROシリーズ初の製品「Xperia PRO」は一眼カメラと組み合わせたプロの映像制作現場を想定していたのに対し、今回のXperia PRO-Iは個人のクリエイターが主なターゲットとのこと。読み方は「プロ アイ」で、”I”はImagingの頭文字だそうです。

注目のソニー製1型イメージセンサーは、高級コンデジ「RX100 VII」のセンサーをスマホ向けに最適化したもの。焦点距離24mmのZEISS Tessarレンズ、αシリーズと同じフロントエンドLSI、動画撮影用の新カメラアプリ、動画撮影で「瞳AF」、4K/120fps撮影など機能も満載です。

従来モデルの1/1.7型を大きく上回る1.0型センサーを搭載(ソニー提供資料)
従来モデルの1/1.7型を大きく上回る1.0型センサーを搭載(ソニー提供資料)

Vlog(ブイログ、動画ブログ)向けのアクセサリーも用意されています。自撮りといえばスマホの画面を見ながら撮れるインカメラが便利ですが、このセットを使えば3.5型の小型ディスプレイを見ながら1型センサーのメインカメラで自撮りができるというわけです。

3.5型ディスプレイ付きの自撮りセットをオプションで用意。外付けマイク、グリップは別売(ソニー提供資料)
3.5型ディスプレイ付きの自撮りセットをオプションで用意。外付けマイク、グリップは別売(ソニー提供資料)

スマホならではのスピード感に価値あり

約20万円という価格はどうでしょうか。1型センサーのカメラ製品として、RX100 VIIは14万円前後、Vlogカメラ「ZV-1」は10万円弱。どちらも光学ズームを備えています。こうして比べるとXperia PRO-Iは高く感じるものの、最大の違いはやはり「スマホとしても使える」点です。

プロセッサーは最上位のSnapdragon 888 5G、主な機能は15万円のフラグシップモデル「Xperia 1 III」から継承しており、おサイフケータイにも対応。10万円のカメラと15万円のスマホが一体化したと考えれば、ある程度は納得できる水準です。

購入の決め手になるのは、スマホならではのスピード感でしょう。撮影した写真や動画をPCに転送することなく、6.5型の4K HDR有機EL画面ですぐに確認。アプリを使って編集を加え、5Gの無制限プランならそのままアップロード可能。SNSでの反応もその場で確認できます。

スマホなら撮影したその場で編集、アップロードも可能(ソニー提供資料)
スマホなら撮影したその場で編集、アップロードも可能(ソニー提供資料)

最近では安価なスマホでもカメラの画質が向上する中で、大型センサーを用いた差別化競争にソニーも参戦した形になりました。写真や動画が溢れかえるインスタやYouTubeの世界で差別化を図りたい人にとっても、Xperia PRO-Iは強い味方になるかもしれません。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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