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ナイキ ヴェイパーフライに新型「3」が登場。「改善の余地が小さくても最善をつくす」と開発者

和田悟志フリーランスライター
写真提供/Nike

今年の箱根駅伝は6割超がナイキを履いていた

 今年1月の箱根駅伝でも、ナイキのシューズを履いた選手が6割を超えていた。各メーカーからカーボンプレートを搭載した厚底レーシングシューズが出揃い、アシックスやアディダスも前年からシェア率を伸ばしたが、依然としてナイキ支持のランナーが多かった。

 ナイキの厚底レーシングシューズと一口に言えど、選手たちは「ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト% 2」もしくは「ナイキ ヴェイパーフライ 2」のいずれかを履く選手が多かった(それぞれの初代モデルや、“中厚底”のナイキ ストリークフライを履く選手もいた)。

 前者は“直線コースで威力をより発揮しやすい”、後者は“細かいカーブなどにも対応し小回りがきく”という意見が選手から聞かれるが、細かいアップダウンやカーブがある箱根では、前者よりも後者のナイキ ヴェイパーフライ 2を履く選手が多かった。

「改善の余地が小さくなっても最善をつくす」

 このナイキ ヴェイパーフライ 2がアップデートされ、「3」が登場する。

「アップデートの度に改善の余地は小さくなるが、そのなかで最善をつくした。『2』も良いシューズで、もっともっと良くなりました」

 ナイキ ランニングフットウェアのプロダクトマネージャーのエリオット・ヒース氏はこう語る。たとえ多くの支持を集めていようとも、おごることなく、さらに良いものを生み出そうという姿勢は、ものづくりの使命であり、ナイキが支持される理由でもあるのだろう。

 プロランナーとして活動した経歴があり、スタンフォード大学時代には米国アイビーリーグ選抜として2012年の出雲駅伝に出場した実績もあるエリオット氏が「このシューズを選手の時に履きたかった」と言うほど、完成度の高い1足に仕上がった。

ナイキ ヴェイパーフライ 3 プロト(写真提供/Nike)
ナイキ ヴェイパーフライ 3 プロト(写真提供/Nike)

 「2」で高い評価を受けていた点はそのままに、いくつかの改良がなされている。

 大きな改良点はまずアウトソールにある。前モデルよりも薄い素材のラバーを使用。ラバーが薄くなった分、世界陸連のルール(ソールの厚さは40mm以内)の範囲内でミッドソール素材のズーム X フォームの量を増やしている。これにより、より軽量に、かつ、エネルギーリターンも向上した。また、ラバーにいくつもの穴が設けられていることも軽量化に貢献している。シューズ全体では4%ほど。メンズ28cmで約8gの軽量化に成功したという。

アウトソールのラバーがこれまでのモデルとは大きく異なる。また、前足部の内側が丸みを帯びているのも大きな特徴だ(写真提供/Nike)
アウトソールのラバーがこれまでのモデルとは大きく異なる。また、前足部の内側が丸みを帯びているのも大きな特徴だ(写真提供/Nike)

 また、前足部の内側が丸みを帯びた形状をしているのも大きな特徴だ。安定性が増し、スムーズな体重移動ができ、自分の動きをよりコントロールしやすくなったという。

「ほんのちょっとのデザイン変更だが、安定感が良くなった。体重をかけても推進力を感じられる」(エリオット氏)

 エリオット氏のプレゼンテーションやプレスリリースから読み解くと、トップアスリートのみならず、より汎用性の高いシューズに仕上がった印象だ。

 まずは白いアッパーに映えたスウッシュが印象的なプロトタイプカラーのナイキ ヴェイパーフライ 3 プロトが、3 月中旬に発売になる。一刻も早く試してみたい1足だ。

フリーランスライター

1980年生まれ、福島県出身。 大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。 その後、出版社勤務を経てフリーランスに。 陸上競技(主に大学駅伝やマラソン)やDOスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆。大学駅伝の監督の書籍や『青トレ』などトレーニング本の構成も担当している。

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