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連戦もなんのその! 東洋大エース松山和希が1万mで大幅自己新【陸上競技・金栗記念選抜】

和田悟志フリーランスライター
金栗記念選抜で10000mに出場した松山(著者撮影)

 東洋大のエース、松山和希(3年)が、タフネスぶりを見せている。

 今年に入って毎月のようにレースに出場し、好走を連発。

 正月の箱根駅伝2区(区間5位)に始まり、2月は全日本実業団ハーフマラソンで日本人学生歴代2位となる1時間00分43秒の好記録をマーク。3月は日本学生ハーフマラソン選手権で3位となり、今夏のワールドユニバーシティゲームズの日本代表に内定した。

 新年度を迎えてからも、4月2日の関東私学六大学対校陸上5000mで2位。そして、4月9日の第30回金栗記念選抜陸上中長距離大会2022(熊本・えがお健康スタジアム)は10000mに出場し、これまでの自己記録を一気に1分43秒も更新し、28分42秒17で組4着(全体19位)と好走を見せた。

金栗記念選抜が10000m大学2戦目。当然のごとく自己記録を更新(著者撮影)
金栗記念選抜が10000m大学2戦目。当然のごとく自己記録を更新(著者撮影)

ロードは抜群の実績を誇るが、トラックの10000mは…

 ロードの実績は折り紙付きの松山だが、実は10000mのレースに出場するのは、これが大学2レース目。それゆえ、10000mは、走れば大幅な自己記録更新が確実視されていた。

「駅伝シーズンから春先にかけて、中学の頃から毎年必ずと言っていいほど怪我をしていて、トラックシーズンはなかなか走れていませんでした。

 今季は3年生になったので、連続レースに耐えられる体を作らなきゃいけないと思っていました。そういった点で連続して走れているのは良かったです」

 今年は、箱根駅伝の後も順調で、万全の状態で新シーズンを迎えることができた。

 ただ、自己記録をマークしただけでは満足はない。

「28分台を出したことは収穫なんですが、28分20秒を目標としていたので、まだまだ力が足りないなと思いました。

 今回は、後ろに付くだけのレースになってしまった。積極的にタイムを狙いに行けるほどの実力はなかった。トラックでは他の選手と比べてすごく劣っているので、しっかり強くなっていきたいです。

 箱根で戦わなければいけないのは田澤さん(廉、駒澤大4年)レベルの選手なので、そういうところを目標にしていければなと思います」

 他大学のエースたちと互角以上の戦いを見せるため、さらなるレベルアップを誓っていた。

日本学生ハーフマラソンで3位に入り、自身初の国際大会の出場権をつかんだ(著者撮影)
日本学生ハーフマラソンで3位に入り、自身初の国際大会の出場権をつかんだ(著者撮影)

個人種目は10000mがメイン

 今季はハーフマラソンでワールドユニバーシティゲームズ出場が決まっているが、6月に全日本大学駅伝の関東地区選考会(*)を控えていることもあり、松山は「今季は10000mをメインにやっていきたい」と言う。

(*8人が10000mを走り、その合計タイムで競う)

 東洋大学が全日本の関東地区選考会からの挑戦となるのは、”山の神”と称された柏原竜二さんが大学1年の時以来。昨年の全日本では7区13位と不振だっただけに、本大会への出場権は絶対につかまなければならない。

 箱根後にハーフマラソンを連戦したことの理由を聞くと、その1つには、10000mの強化という意図もあった。

「今まで5000mは比較的走れていたので、そのスピードを生かし、距離をどんどん延ばしてハーフの距離を走れるようになれば、体力的に10000mも行けるんじゃないかなって思いました。

 まずは10000mで27分台を出せる力をしっかり付けようと思います」

 冬季を通して練習を継続しタフさを身に付けた鉄紺のエースが、今季どんな進化を見せるのか。要注目だ。

フリーランスライター

1980年生まれ、福島県出身。 大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。 その後、出版社勤務を経てフリーランスに。 陸上競技(主に大学駅伝やマラソン)やDOスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆。大学駅伝の監督の書籍や『青トレ』などトレーニング本の構成も担当している。

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