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コロナ禍における新しいランニングの形“競わなくたっていい!”

和田悟志フリーランスライター
みんなで走るのもよし、一人でマイペースで走るのもよし

 新型コロナウイルス第5波の感染拡大は収束傾向にあり、全国各地のマラソン大会も、少しずつ開催されるようになってきた。

 しかしながら、中止や延期になった大会もまだまだ多く、来年開催が予定されていた大会でも、2月の青梅マラソンや京都マラソンなどのように、早くも中止が決まっている大会もある。

 中止や延期になった場合の代替レースとして、オンラインマラソンを開催しているケースも多い。オンラインでの実施方法は大会によって様々だが、ランニングアプリ等を利用して、決められた距離を走るというものが多く、手軽に参加できることがオンライン開催の魅力になっているようだ。

ボストンまでの10,810km

 オンラインランニングイベントは、全国各地の大会が代替レースとして開催している場合が多いが、メーカー等が主催しているイベントもある。

 その1つ、「NB FuelCell 10K CHARGE」は、イベント名の“NB”でお分かりの通り、ニューバランスジャパンが主催。各々が10kmという距離を1つの目標として走り、STRAVAなどのランニングアプリで走行距離を計測し、その画面をスクリーンショットして、スペシャルサイト(https://10kcharge.com/)にアップロードしていくというもの。

 参加したランナーの走行距離がどんどん加算され、サイト内にはその合計走行距離が表示されている。開催期間内(2021年10月8日〜11月28日)に、東京からニューバランスの本社があるアメリカ・ボストンまでの距離10,810kmをみんなで走り切ることがゴールとなる。

 走ること自体を楽しみたいという人、記録を追い求める人……人々がランニングに取り組む理由はそれぞれだが、走る理由やレベルが異なっても、同じ目標に向かえるのが、このイベントのユニークなポイントだろう。参加費は無料で、全国どこからでも、好きなタイミングに参加することができる。

 筆者もニューバランスのランニングシューズFuelCell PRISM v2の試し履きも兼ねて10kmを走った。普段であれば、もっと短い距離を1km5〜6分程度のペースで走るのだが、いつもより長い10kmなので、普段のペースよりもゆっくり走った。

参加証。10日ごとにデザインが変わる
参加証。10日ごとにデザインが変わる

 ちゃんとした目標(ゴール)があるので、走ることのモチベーションにもなるし、それでいて、誰かと競争しているわけではないので、妙な切迫感に駆られることもない。季節外れの暑い1日だったが、晴天の下、楽しんで走ることができた。

 オンラインの参加証は10日ごとにデザインが異なるので、近いうちにまた、10kmを走りたいと思う。

観光もスイーツもランニングも楽しむ

 ランニングの魅力の1つには、旅行との親和性が高いことがある。

 参加するレースを選ぶ基準には、「記録が出やすいコース」とか「参加賞が良い」などのほかに、「観光を楽しみたい」とか「コースの景観が良い」といったことも挙げられる。やはり現地に出向いてこそ、その土地の魅力を味わうことができるというものだ。代替レースがオンラインで開催されたところで、物足りなさを感じている人も多いのではないだろうか。

 そんなランナーにお薦めしたいのが、「めぐろーかる」というイベントだ。

 走力に関係なく、スロージョギングやウォーキングなど自分のペースで、おいしいスイーツ店や観光スポットを楽しみながら地域を巡るという地域探索型イベントで、現在は京都市を舞台に「京都めぐろーかる」が開催中だ(2022年2月28日まで)。

京都の街中が舞台(SHMore Inc.提供)
京都の街中が舞台(SHMore Inc.提供)

 詳細は、https://meglocal.com/events/9 から。

 こちらは、参加費880円の有料イベントだが、1日完結型ではなく、スタートもゴールも、どんなルートを辿るかも自由。また、京都の経済貢献につなげるための様々な仕掛けが取り入れられている。

 チェックインスポットにある飲食店などのお店では、割引などの特典があり、さらに購入した商品(およびレシート)を撮影して抽選に応募すれば、ランニングシューズなどの商品が当選する企画もある。

 また、11月21日には「京都めぐろーかる」の派生イベントとして、ホノルルマラソンやシドニーマラソンなどで公式トレーナーを務めた実績がある森川優コーチのランニングレッスンが開催される(別料金を設定)。さらには、プロマラソンランナーの神野大地選手と一緒に走れるイベントも実施予定だという。

 「めぐろーかる」もまた、競うことなく、マイペースで楽しめるイベントだ。走っていない友達をランニングの世界に誘い込むための、きっかけとしてもいいかもしれない。

 体育の授業などでランニングにアレルギーがあった人にとっても、“競わなくたっていい!”これらのイベントは、ランニングの入り口になるのではないだろうか!?

フリーランスライター

1980年生まれ、福島県出身。 大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。 その後、出版社勤務を経てフリーランスに。 陸上競技(主に大学駅伝やマラソン)やDOスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆。大学駅伝の監督の書籍や『青トレ』などトレーニング本の構成も担当している。

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