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お正月の心理学:お年玉は愛の象徴:希望と緊張とリラックス効果

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC
写真はイメージ:子供が一番楽しみなのはお年玉(写真:ペイレスイメージズ/アフロイメージマート)

■新年、明けましておめでとうございます。

「新年、明けましておめでとうございます」といっても、何がおめでたいのでしょうか。お正月には「年神(としがみ)さま」がいらっしゃるからめでたい、という説もありますが、キリスト教文化の西洋でも、ハッピーニューイヤー!(新年おめでとう)ですね。

まあ、何はともあれ、おめでとうございます。新しい年、新たなる旅立ちはめでたいものです。明るい顔で、おめでとうとスタートをお祝いしたいものです。

新しい年も、新しいスタートも、いつも良いことが起きると予想できるわけではありません。新年直前の年末は、暗い話題ばかりですよね。でも、年が改まると気持ちが華やぎます。何か良いことが起きる気がします。

心理学では、この希望を「ポジティブ・イリュージョン」と呼んでいます。

「健康な人は、ポジティブ・イリュージョンを持っています。以前は、うつ状態の人が悲観的で健康な人が現実的と言われていましたが、実はうつの人が現実的で健康的な人が楽観的だったのです。この楽観的なポジティブ・イリュージョンがあるからこそ、人は新しいチャレンジができるのです」(新年の心を元気にする希望とポジティブ・イリュージョンの心理学:Y!ニュース個人有料)。

昨年は辛いことがあっても、この希望があれば、心も新たになるのです。

■お正月には意味のないことをしよう。そしてセレモニーをしよう

お正月には、意味のないことをしましょうと、昨年申し上げました。

新年には「意味のないこと」をしよう:お正月リフレッシュの心理学

人は大昔からお正月には馬鹿らしい遊びをしてきました。昼間から酒を飲むもよし。寝正月も良しです。

その一方で、お正月にはセレモニー(儀式)がつきものです。職場だって、「本年もよろしくお願いします」と、いつもよりかたいあいさつを交わします。家庭内のセレモニーはだいぶ減ってきましたが、「お屠蘇(おとそ)」を飲んで、家長のあいさつがあったものです。

写真AC
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人はだらだらと過ぎる時間が我慢できません。気持ちが沈みますし、能率も上がりません。ビジネスでも、区切りをつけて、PDCA(プラン、ドゥー、チェック、アクション)ですね。区切りをつけることは大切です。

年末年始のリラックスやお笑いと、ちょっと緊張感のあるセレモニーは、大人にも子供にも高齢者にも必要です。それは私たちの心に区切りをつけ、新スタートの気持ちを高めてくれるのです。

■お年玉は愛の象徴

子供にとって、お正月一番の楽しみはお年玉です。幼い子供や孫がいるなら、お年玉をあげましょう。いつもとは違って、新札をポチ袋に入れて渡しましょう。

子供(孫)は、お年玉をくれる両親や祖父母やおじさんおばさんが大好きです。

もちろん、単純に金をくれるから好きというわけではありません。お金は愛の象徴なのです。誰だって、町中の子供にお年玉を配るわけではありません。特別に大好きな子(孫)だから、お年玉をあげるのです。

以前、バターキャンディーのテレビCMに登場するおじいちゃん役の人が言っていました。

「私が、子供だったころ、私のおじいちゃんがバターキャンディーをくれました。こんなに美味しいキャンディーをもらえる自分は、特別な子供だと思っていました。」

お年玉は、「愛しているよ」のサインです。成績も部活の活躍の有無も関係なしに、その親戚の集まりに来た子供たちはみんなもらえます。お年玉は、無条件の愛の象徴なのです。

人は無条件に愛されていると実感できるときに、やる気と勇気が湧くのです。両親は、子供のその思いを増幅させましょう。金額だけに目が行かないように、おじいちゃんもおばあちゃんも、おじさんもおばさんも、みんなあなたのことが大好きなんだと、伝えましょう。

そしてお年玉は、もらう側だけでなく、与える側もハッピーにします。心理学の研究によれば、お金を自分にためだけに使う人よりも、自分以外の人のためにも使う方が幸福感は高まるのです。

西洋では、クリスマスにみんなが集まり、愛のプレゼントを交換します。日本ではお正月。親戚一同、ケンカなどせずに、愛にあふれた新年のスタートにいたしましょう。

社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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