「雨の音が怖い」:心の傷を癒しPTSDを予防する:九州北部豪雨

(写真はイメージ:九州北部豪雨 福岡県朝倉市)(写真:ロイター/アフロ)

災害直後の心の傷が長引かないための大切な方法は、理解し合い、支えあうこと。

■雨の音が怖い

豪雨による大きな被害が出た九州北部では、災害との戦い、復興活動、そして心の戦いと癒しへの活動が始まっています。

雨の音が怖い。夜が眠れない。~災害などの直後には誰にでも起こりうる反応だが、長期化すると、心的外傷後ストレス障害(PTSD)やうつ病~

「思い出すだけで手が震え、頭が痛くなるんです」

「涙も出ない。これは現実なの、って。感情をフリーズ(凍結)してなんとか生きています」

災害派遣精神医療チーム(DPAT)が面談している。

子どもについては「雨の音を怖がる」「母親から離れたがらない」「『電気を消さないで』と訴える」といった相談

「いらいらすることが増えた」

「今は元気でも、しばらくしてふさぎ込んでしまうケースもあると聞く。長期的に見守りたい」

出典:雨の音怖い」九州豪雨、心にも傷 不眠や食欲不振、いらいら増加 ケアへ専門家ら面談 :西日本新聞7/21 Y!

■ASDとPTSD

大きな災害や事故を体験した後に、何でもないはずのことが怖いと感じた体験は、少なからずの人が体験していることでしょう。これを、ASD(急性ストレス障害)と呼びます。しばらくしてこのような症状が消えれば良いでしょう。しかしこれが長く続いてしまうと、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と呼ばれます。

心の傷が長引き、苦しみが続くことを、少しでも防ぎたいと思います。

■災害の直後には

小さなことでも怖くなります。いつも不安だったり、イライラすることもあります。子どもがわがままになったり、甘えてきたりすることもあります。みんながこのようになってしまえば、家族のことで悩んだり、互いにぶつかってしまうこともあるでしょう。

しかし、この困った状況が、いつまでも続くわけではありません。乱暴な人や、弱い人になってしまったわけではありません。災害直後には多くの人が体験することです。

心や体が疲れていることを理解して、互いに支えあえたらと思います。

症状が重い時には、精神科医などプロの出番もあります。薬が効くこともあります。適切に医療も活用しましょう。しかし、家族や近隣の人同士の助け合いが、大切です。

■子どもなど災害弱者を守る

子どもが甘えてきたら、甘えさせましょう。大丈夫です。その状態がずっと続くわけではありません。とても頑張っている子ども若者がいたら、その活躍をいたわり、少し休ませてあげましょう。

水害の心の傷は、特に高齢者に重くのしかかります。思い出や、家財産、田畑や故郷を失うことは、若者以上に辛いこともあります。

心の傷を癒すためには、周囲の理解が必要です。

できれば、いつもの日常に早く戻れればと思います。いつもの仲間と、いつものように過ごすことが、心の傷を癒します。世話を焼いてもらうだけが癒しではありません。

■弱者を支える人を支えよう:PTSDの予防と復興への道

大規模災害発生時には、地元の人はみんな被災者です。それでも、災害弱者を支えようとする親や先生や、様々な役割の人々がいます。この方々を支えましょう。

泣きじゃくっているような人は、心配です。みんなでケアしたいと思います。感情が消えてしまっているような人は、もっと心配です。安心して悲しめる場所を提供できたらと思います。

頑張っている人の中に、辛さを抑え込んでいる人もいます。無理をさせすぎず、休息させましょう。

誰かを支えるためには、その人自身の心の癒しが必要です。子どもや高齢者、心が不安定になっている人などの災害弱者を、家族や医療スタッフ、福祉職員など身近な人が支えます。さらにその人々をみんなで支えることが、PTSDの予防になり、復興へとつながる道になるでしょう。

東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。HP『こころの散歩道』。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「とくダネ!」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ビートたけしのTVタックル」「ホンマでっか!?TV」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』など。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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