個人カルトの恐怖:逮捕された母親と自称霊能力者

(写真はイメージ)(写真:アフロ)

■修行の名で娘に暴行?母親と自称霊能者を逮捕

 霊能力を身に付けるための修行と称して高校生の娘にカッターで切りつけたり頭髪を丸刈りにしたりする暴力を振るい、けがを負わせたとして、青森県警三沢署は30日、傷害と暴行の疑いで母親~と、近所に住む自称霊能力者~を逮捕した。

 逮捕容疑は昨年12月~今年1月ごろ、共謀して娘の右腕にカッターで切りつけ、ハエたたきや棒で尻を殴って切り傷や打撲を負わせたほか、バリカンで頭髪を刈った疑い。2人は「修行に集中させるためだった」と供述しているという。

出典:母親と自称霊能者を逮捕 修行と称し娘に傷害容疑:共同通信

■繰り返される悲劇

親は子を愛し、教育しようと願っています。しかし、その思いが行き過ぎると、誤った選択をしてしまいます。必死になっているそんな親を、ワナにかける人々もいます。

厳しすぎる訓練の場で亡くなってしまった子どももいます。通常の医療を拒否して、亡くなった子もいます。特殊なマッサージを赤ん坊が受けて、亡くなってしまったケースもあります。通常の教育を受けさせてもらえない子もいます。普通の子どもの自由や幸福を味わえない子もいます。親から金だけを取り、まともな教育も訓練もせず放置していたところもあります。

詐欺的な団体なら、できるだけ摘発されないように、長く金儲けができるようにするでしょう。傷害罪やら、ましてや殺人などに問われることは絶対に避けるでしょう。

信念を持って体罰を加えているような団体は、やっかいです。本人達も信じているので、時に大きな事故につながります。ただ、ひとたび死亡事故などが起これば、激しい世間のバッシングや法的責任を問われるでしょう。

その団体が宗教がらみだと話はさらに複雑になりますが、大きな団体なら、いずれ様々な情報が世間に流れることになるでしょう。

単なる金目当てではない「カルト」的な団体が世間を騒がせた例はいろいろとあります。

■個人カルト・少数カルト

大きなカルト団体(破壊的カルト団体)は、時に社会全体を揺るがす大事件も引き起こしますが、いずれ被害者団体ができたり、弁護士グループが立ち上がったりもします。脱会した人々が内情を話してくれるので、中の様子もしだいに明らかにされます。

ところが、教祖一人が行っている、あるいはほんの数人で行っているような個人カルト、少数カルトは、なかなか世間の注目を集めません。しかし、ニュースにはならなくても実は多くの個人カルト、少数カルトがあり、被害者は大勢出ています。

子どもが死亡したりすれば、大きなニュースになります。有名芸能人が被害者になれば、やはりニュースにはなります。しかし、加害者側が刑事罰を受けたりしなければ、結局うやむやになることも多くあります。世間では、洗脳だ、マインドコントロールだと騒いでも、本人は否定するからです。

宗教カルト、医療カルト、心理カルト、経済カルト、様々な分野のカルトがあります。悪霊を追い払う、病気が治る、素晴らしい人間になれる、金持ちになれる、そう信じた人々が被害者になり、時に家族に対する加害者になってしまいます。

1つの事件を、一時の報道と関係者の逮捕だけで終わらせず、社会全体の問題としていきたいと思います。

○『自称霊能者に支配された561日』 (廣済堂新書)

もとオセロの中島知子さんと関わったとされる「自称霊能力者」に、心も行動も支配されていたと語る人の手記です。手記のあとに、私の心理学者としての解説「カルトの罠にかからないために」も載っています。

東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。HP『こころの散歩道』。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「とくダネ!」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ビートたけしのTVタックル」「ホンマでっか!?TV」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』など。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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