■「妊婦の飲酒は一切ダメ」、米小児科学会が勧告

ヤフーニュースに、「妊婦の飲酒は一切ダメ」とういアメリカCNNのニュースが載りました。

報告書では、飲酒は妊娠中のどの段階においても安全とみなすことはできないと強調。生まれながらの障害や生後の認知問題の筆頭原因としてアルコールを挙げ、飲酒しなければこうした障害は予防できるとした。

出典:CNN.co.jp 10月22日

■胎児へのアルコールの害

以前から、妊婦の飲酒が胎児に悪影響を与えることは指摘されていました。統計的な研究によれば、一日ビール2本以上のアルコールを摂取し続けると、肉体的・精神的な異常の出現率が明らかにアップすることがわかっています。

上記の記事では、「1日に1杯飲んだだけでも~聴覚や視覚、心臓、骨、腎臓などに問題~注意欠陥多動性障害(ADHD)の原因にもなる」と書かれています。

ではさらにもっと少量ならば良いかというと、意見の分かれるところもあります。ただしこれまでの研究でも、少量でも悪影響がでた例も報告されています。アルコールの影響は個人による差が大きいのです。

日本産婦人科学会では次のように示しています(飲酒、喫煙と先天異常:日本産婦人科医会・先天異常委員会委員

「一日のアルコール摂取量15ml(ビール350ml 缶1本) 未満なら、胎児への影響は少ない。90ml 以上だと発生が明らかに高くなる。」

そして今回、アメリカの小児科学会が、「一切飲まないに越したことはない」として、妊婦の飲酒は一切ダメと勧告ました。

■日本の現状:妊婦の飲酒率8.7%

日本では、常識的には妊婦の飲酒はだめです。ほとんどの産婦人科医がそう言うでしょう(一週間に1~2杯程度の少量ならよいと言う医師もいますが)。お酒にも、「妊娠中や授乳期の飲酒はやめましょう」と注意書きが書かれてあります。

ところが、厚労省の2010年の調査によると、日本の妊婦さんの飲酒率は8.7%でした(胎児性アルコール症候群:厚生労働省)。

日本の飲酒率は、男性が83.1%、女性60.9%なのですが、20代前半に限ると男性が83.5%、女性が90.4%です。若い女性の飲酒率は高いのです。さらに、妊娠可能年齢女性における飲酒率は年々増加しています。

妊娠中の飲酒の理由としては、一位が「少量なら大丈夫だと思った」で、そのほか、一息つきたい、おちしいから、つきあい、ストレス解消などが続きます(妊娠中の飲酒の実態:キリンビール)。

飲酒問題は、「一切ダメ」と単に禁止するだけでは解決ないでしょう。アルコール依存や、人間関係、ストレスなど心理的な問題を抱えている人々への支援が不可欠です。

■妊婦さん、お母さんを支えるために

先天的な障害に関する問題は、微妙で複雑です。わからないこともたくさんあります。それでも、障害児のお母さん方は、深く悩み、時に自分を強く責めます。

今回の記事を読んで、妊娠中の飲酒を悔やんでいる方もいるでしょう。妊娠がわかる前の飲酒で自分を責めるお母さんもいるかもしれません。

妊娠がわかった段階でお酒をやめることは必要だと思います。しかしわかる前の妊娠初期の飲酒の悪影響に関するはっきりした科学的証拠はありません。少量飲酒の影響も、よくわかりません。

記事を読んでご自分を責めることなく、より良い子育てをしていただければと思います。

(障害児のお母さんに対して、妊娠中の行動で責めるのは、もってのほかです。)