妖怪ウォッチ「何でも妖怪のせい」は良いこと?悪いこと?を心理学的に解説

子どもが大好きなお化けや妖怪を上手に活用しましょう。

■何でも妖怪のせい?

「アニメ影響 注意に言い返す息子」というタイトルで、38歳の主婦から寄せられた悩み。アニメ『妖怪ウォッチ』を見始めた4歳の息子が、何か注意するたびに「妖怪のせいだよ」と言い返してくるのだという。~

ちなみに以前から、ツイッターには子供たちの間で「妖怪のせい」というフレーズが大流行していることが報告されており、教育面での悪影響を指摘する声があがっていた。一方で悩んだ時に「妖怪のせい」と考えると心が落ち着く、というメッセージだとの指摘もある。

出典:子供達「何でも妖怪のせい」に賛否 web R25 9月30日

ゲーム、アニメの「妖怪ウォッチ」が大流行です。その大流行の心理的なポイントが、この質問にあると思います。

■「妖怪ウォッチ」大流行の心理学的原因

ゲームの魅力、キャラクターの魅力といった意外のお話です。

子どもや、世の中の悪いことの原因は、「妖怪」だというのが、「妖怪ウォッチ」の世界観です。

何か人知では計り知れないものが、この世界や私に悪さをしている。この発想は、大昔から人間がしてきたことでしょう。そうやって、わけの分からないこの世界や、人生を納得しようとしてきました。勇気を持って新しい一歩を踏み出そうとしてきました。

自己肯定感が低いと言われ、ストレスがたまっている現代の子どもたちにとっても、「妖怪のせい」は、心を癒すのでしょう。

■外在化「この手が悪いのね」「魔が差した」「鬼」「悪魔」

たとえば、万引きをした子どもに対して「この手が悪いのね」と叱るような方法が、心理学で言う「外在化」です。本当に手がかってに動いて万引きしたわけではありません。その子が盗んだのです。

でも、「泥棒するなんて最低の子どもだ!」と言っても、子どもはなかなか反省してくれません。落ち込んで、泣いたり、怒ったり、やけを起こすかもしれません。

そこで昔の人が思いついた方法が、「この手が悪いのね」です。罪を憎んで人を憎まずの発想です。

あなたは本当はよい子なのに、「この手が悪いのね」「魔が差したのね」と言うわけです。鬼とか、悪魔とは、外の力が働いたと考えます。

■小学校の豆まきで

ある小学校の節分行事を見学しました。子どもたちは、事前に自分の欠点を「鬼」として書いていたようです。なまけもの、泣き虫、ねぼすけ、そんな心の中の「鬼」を子どもたちは書いています。

校長先生が、子どもたちの前に立ち言います。「さあ、みんなの心の鬼は何かな? みんなで鬼を追い出そう!」。そのあとは、先生達が鬼となり、楽しい豆めき大会です。

これも心理学的に言えば、「外在化」です。

■子どもたちはいろいろなことが上手くいかないけれど

子どもたちは、いろいろなことが上手くいきません。歯磨きをしなかったり、勉強をしなかったり。その度に叱られます。叱ることは大切ですが、子どもの自尊感情を下げてしまうと逆効果です。

たとえば、こどもの勉強嫌いを直すためには、なぜ嫌いなのかを冷静に考えれ必要もあるでしょう。

勉強嫌いの原因をいくつか具体的に考えて、解決法を探ってみましょう。

・安心安全がない。

・勉強習慣が身についていない。

・勉強がわからない。

・ほめられることが少ない。

・勉強が役立つと思えない。

・夢や目標がない。

出典:子どもの勉強嫌いを直す方法:Yahoo!ニュース個人有料「心理学であなたをアシスト」

大人としての冷静さは必要です。でも同時に、子どもに理屈だけで話せば言いわけでもありません。

悪いことをした子どもを鬼が怒ってくれる、「鬼から電話」なんてアプリもありますね。子どもはとても怖がります。ただし、使い方に注意は必要です。

「鬼から電話」がどの程度子どもに効いているのか、見極めが必要です。まったく効かなければそれでもよいのですが、効き過ぎている、強すぎる恐怖心をもちそうならば、親が配慮しましょう。

程よい効き目があるときでも、「抱きしめてくれる親」が絶対に必要でしょう。

出典:「鬼から電話」の効果と使い方:叱り方の心理学:Yahooニュース個人「心理学でお散歩」

「勉強しなさい」も「兄弟仲良くしなさい」も、言い過ぎれば逆効果になります。人は、言われすぎると反発し、時には正反対のことまでしたくなってしまうものです。

「物を動かすなら、動かしたい方向に押せばよいでしょう。動かないなら、もっと強く押せばよいでしょう。ところが人の心理は違います。押すと逆にはね返ってくることもあるのです(心理的反発・リアクタンス)。」

出典:逆効果の心理学:子育てで、社会で:立派なお弁当で小食になる子も!?・「落書き厳禁」は落書きを増やす?:Yahoo!ニュース個人有料「心理学であなたをアシスト」

■反省しなくてもいいの?

「悪いことしたのは、失敗したのは、妖怪のせい」。こう考えれば、心は傷つきにくいでしょう。心を守るためには、賢い方法です。しかし、それだけで良いのか、反省しなくて良いのかと親は悩むでしょう。

時に厳しく叱ることは必要です。ただし、その時こそ忘れてはいけないのは、「お母さん(お父さん)は、何があってもあなたを大好きよ」という土台です。

子どもは、親からの絶対的な愛が揺るぐことを恐れます。たとえば、兄弟ゲンカは親の愛の奪い合いです。子どもは比較されるだけで腹を立てます。「兄弟を平等に愛するだけでは不十分」なのです(「きょうだいトラブルの心理学:兄弟喧嘩、カイン・コンプレックス:兄弟は平等に愛してはいけない!?」。

そんな子どもたちは、叱られるだけでは反省しません。叱られて親の愛が離れていくことを恐れ、自信をなくすだけでしょう。それは、心理学的に言えば歪んだ「恥意識」です。悪いことをした自分を恥じ、逃げ出したい気持ちです。この気持ちでは、前に進めません。時に、自分のしたことをごまかして謝れないでしょうし、時にやけを起こして乱暴をするでしょう(大人だと犯罪に走る人もいます)。

本当の反省は、健康的な「罪意識」を持たせることです。「悪いことをしてしまった」と心から反省し、正しい罪意識を持つと、つぐないの心が生まれます。建設的で前向きな行動が生まれます。

■「妖怪ウォッチ」の使い方

悪いことや、失敗を、小さな子が妖怪のせいにするのも、良いでしょう。ただし、その妖怪をやっつけなくてはなりません。お母さん、お父さんと一緒に、その妖怪をやっつけましょう。

悪いことは悪い。でも、君のことが大好き。君は失敗や悪いことをきっと乗り越えていけると、教えてきましょう。

東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院博士後期課程修了。博士(心理学)。新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。スクールカウンセラー。テレビ新潟番組審議委員。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。HP『こころの散歩道』は総アクセス数5千万。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「とくダネ!」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ビートたけしのTVタックル」「ホンマでっか!?TV」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』など。監修:『よくわかる人間関係の心理学』など。

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