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サヨナラ本塁打が観客の妨害でアウトになる。試合は延長に入り…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ホルヘ・ポランコ(左)とジェイコブ・スターリングス Apr 21, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 4月21日、0対0で迎えた9回裏の2死走者なしから、ジェイコブ・スターリングス(コロラド・ロッキーズ)が打ち返したボールは、レフトへ飛んでいった。

 ボールは、ディラン・ムーア(シアトル・マリナーズ)がフェンスの手前でジャンプして伸ばしたグラブではなく、そのすぐ上に観客が差し出したグラブに収まりかけ、フィールドへ落ちた。

 観客がいなくても、ムーアのグラブは、ボールに届かなかったように見える。けれども、観客の妨害がなければ、捕球できた可能性もあると判断され、スターリングスはアウトになった。

 試合は、10回表にマリナーズが1点を挙げたが、その裏、ロッキーズは3連打――1本目と3本目は内野安打――でサヨナラ勝ちを収めた。スターリングスは、イニング開始時のオートマティック・ランナーとして二塁に立ち、三塁へ進んだ後、同点のホームを踏んだ。

 ただ、観客の妨害がなく、ムーアに捕られることもなければ、スターリングスにとっては、今シーズン最初のホームランになっていた。ちなみに、それまでの8シーズンに記録した24本塁打のうち、ピッツバーグ・パイレーツ時代の2020年9月22日、2021年5月15日、2021年7月17日に打った3本は、サヨナラ本塁打だ。今回は、4本目のサヨナラ本塁打が幻となった、という見方もできる。

 また、スターリングスの一打がホームランなら、サヨナラ本塁打による1対0の勝利は、ロッキーズ史上初だった。

 ロッキーズは、マイル・ハイ・スタジアム(1993~94年)とクアーズ・フィールド(1995年~)をホームとしてきた。これまで、ホームで1対0は9試合、0対1は3試合だ。前者の9試合中、サヨナラ勝ちは2試合あるが、どちらのサヨナラ打もホームランではなかった。2008年6月11日はヨービット・トレアルバが犠牲フライ、2008年9月14日は10回裏にトロイ・トゥロウィツキがシングル・ヒットを打ち、唯一の得点を挙げて試合を終わらせた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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