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過去6年に25本塁打以上が4度のスラッガーがレッドソックス入団。吉田正尚にも影響の可能性あり

宇根夏樹ベースボール・ライター
C.J.クロン Aug 11, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 3月3日、数日前から報じられていたとおり、C.J.クロンは、ボストン・レッドソックスに入団した。マイナーリーグ契約のノン・ロースター・インバイティ(キャンプ招待選手)として、スプリング・トレーニングに参加する。

 クロンは、短縮シーズンの2020年を挟み、その前後とも、2シーズン続けて25本以上のホームランを打っている。2018年と2019年は30本と25本、2021年と2022年は28本と29本だ。昨年も、怪我がなければ、そうなっていてもおかしくなかった。71試合で12本塁打を記録した。

 メジャーリーグだけでなく、マイナーリーグでも、クロンは、一塁しか守っていない。レッドソックスの一塁には、トリスタン・カーサスがいる。メジャーリーグ2年目の昨年、カーサスは、24本塁打&出塁率.367とブレイクした。クロンと違い、左打者だが、対左右のどちらも、出塁率は.360を超えた。

 クロンが開幕ロースターに入る場合、代わりに外れるのは、控え一塁手のボビー・ダルベックだろう。こちらは、クロンと同じ右打者だ。メジャーリーグ2年目の2021年は133試合で25本塁打ながら、2022年は117試合で12本塁打。両シーズンとも、出塁率は.300に届かず、昨年は主にAAAでプレーした。ちなみに、メジャーリーグの21試合は、1本塁打&出塁率.264。AAAの114試合は、33本塁打&出塁率.381だった。ダルベックは、一塁以外の内野も守るものの、内野の控えには、パブロ・レイエスがいる。

 クロンに押し出される可能性があるのは、ダルベックだけではない。吉田正尚もそうだ。昨年は33本の二塁打を打ったとはいえ、15本塁打&出塁率.338では、今年の起用が見込まれるDHとしては物足りず、出塁率が低くてもパワーのあるクロンに、出場機会を奪われることになりかねない。

 なお、弟のケビン・クロンは、2021~22年に広島東洋カープとSSGランダースでプレーした後、2022年のオフにオークランド・アスレティックスへ入団し、AAAで10試合に出場したところで解雇された。Xのプロフィールには「ヘッドライン・スポーツ・グループのベースボール・ディレクター。TCUホーンド・フロッグ。元ワールド・トラベリング・ボール・プレーヤー」と記してあり、その後ろに、USA、日本、韓国の国旗が並んでいる。このプロフィールからすると、選手としてのキャリアには終止符を打ったように見える。TCUは母校のテキサス・クリスチャン大、ホーンド・フロッグはそのチーム名だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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