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速球&スライダーの奪三振マシンが「新球種」を加える。202奪三振→281奪三振に続き、今年は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
スペンサー・ストライダー(アトランタ・ブレーブス)Feb 24, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今春、スペンサー・ストライダー(アトランタ・ブレーブス)は、2試合に登板し、計5イニングを投げて得点を許さず、9三振を奪っている。

 これまでも、奪三振は多かった。メジャーリーグ1年目の2021年は0奪三振だが、これには理由がある。10月にメジャーデビューし、2登板で計2.1イニングを投げたに過ぎなかった。2022年は131.2イニングで202奪三振、2023年は186.2イニングで281奪三振を記録した。過去2シーズンとも、奪三振率は13.50を超えている。

 ストライダーの投球は、4シームとスライダーが90%以上を占める。それ以外は、主に左打者に用いるチェンジアップだ。スタットキャストによると、通算483奪三振の3ストライク目は、4シームが244球、スライダーが213球、チェンジアップは26球となっている。

 メジャーリーグ4年目の2024年は、そこに、新たな球種が加わる。ストライダーは、エキシビション・ゲームでカーブも投げている。

 期待できるのは、奪三振のさらなる増加、だけではない。昨年は、281奪三振と20勝のどちらも両リーグ最多――240奪三振以上も18勝以上も、他には皆無――ながら、防御率は3.86だった。こちらは、ナ・リーグに限っても、トップ10に入っていない。ちなみに、制球に難があるわけではない。過去2シーズンの与四球率は、3.08と2.80だ。

 球種のレパートリーにカーブを加えることで、ストライダーは、奪三振マシンにとどまらず、真のエースとなっていくかもしれない。現在の年齢は25歳だ。

 なお、今世紀のシーズン奪三振トップ15は、以下のとおり。

筆者作成
筆者作成

 2001年にランディ・ジョンソンが奪った372三振は、ノーラン・ライアン(1973年)の383奪三振とサンディ・コーファックス(1965年)の382奪三振に次ぎ、1900年以降の3位に位置する。ライアンとコーファックスは、どちらも、このシーズンに325イニング以上を投げた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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