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33歳の元クローザーが復活に向け好発進。ハーパーら3人をいずれも空振り三振に仕留める

宇根夏樹ベースボール・ライター
ケン・ジャイルズ(アトランタ・ブレーブス)Feb 28, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2月28日、ケン・ジャイルズ(アトランタ・ブレーブス)は、3回裏のマウンドに上がり、フィラデルフィア・フィリーズの3人、ブライス・ハーパーニック・カステヤノスアレック・ボーンに対して投げた。今春の初登板だ。そして、どの打者からも空振り三振を奪った。

 ジャイルズは33歳。2014年にメジャーデビューし、これまでに115セーブを挙げている。2010年代後半(2015~19年)の113セーブは、このスパンの11位。5シーズンのトータル奪三振率12.17も、200イニング以上の361人のなかで11番目に高かった。

 だが、その後、メジャーリーグのマウンドに上がったのは、2020年の4試合と2022年の5試合だけだ。2020年9月にトミー・ジョン手術を受け、2021年は全休。昨年は、7月からロサンゼルス・ドジャース傘下のマイナーリーグで投げた。

 今月初旬、ジャイルズは、ノン・ロースター・インバイティ(キャンプ招待選手)つきのマイナーリーグ契約をブレーブスと交わした。ニューヨーク・ポストのジョン・ヘイマンは、メジャーリーグのロースターに入った場合の年俸は175万ドル、と報じている。

 スタットキャストによると、ジャイルズの15球は、4シームが4球とスライダーが11球だった。カステヤノスには、4球ともすべてスライダー。ハーパーとボーンにも、最初に4シームを2球続けた後、それぞれ、スライダー3球とスライダー4球を投げた。

 かつてのジャイルズは、時に100マイルを超える4シームと落差のあるスライダーを組み合わせていた。当時ほど速い4シームは投げられなくても――この日の最速は95.3マイル――まだ通用するのではないだろうか。

 サンプル数としてはわずかながら、スライダーはよく沈んでいて、全盛期を彷彿させた。ハーパーもカステヤノスもボーンも、スライダーに対して2度ずつバットを振り、すべて空を斬った。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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