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二桁勝って二桁負ける投手は絶滅したのか。2018年に10勝13敗の西勇輝らを最後に、過去5年は不在

宇根夏樹ベースボール・ライター
菅野智之(左)と則本昂大 MAR 15, 2017(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 昨年、10勝以上を挙げた投手は、セ・リーグとパ・リーグに9人ずついた。一方、10敗以上を喫した投手は、セ・リーグが5人、パ・リーグは4人だった。この計27人は、いずれも異なる。白星と黒星のどちらも二桁の投手は、一人もいなかった。

 二桁勝って二桁負ける投手の不在は、昨年に限ったことではない。2019年から続いている。5シーズン連続だ。

 それまで、同じシーズンに10勝以上と10敗以上の投手は、珍しくなかった。2018年は、西勇輝(当時オリックス・バファローズ/現・阪神タイガース)が10勝を挙げて13敗を喫し、ニック・マルティネス(当時・北海道日本ハム・ファイターズ/現シンシナティ・レッズ)、則本昂大(東北楽天ゴールデンイーグルス)、デビッド・ブキャナン(当時・東京ヤクルト・スワローズ)の3人は、それぞれ、10勝11敗を記録した。

 その人数は、2014~18年の5シーズンに、4人→5人→4人→2人→4人と推移してきた。西は、1シーズンおきに3度。則本は、15勝7敗の2017年を除く、この5シーズン中4シーズンがそうだ。

筆者作成
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 一方、その後の5シーズン、2019~23年の人数は、0人→0人→0人→0人→0人だ。

 2019年以降、1シーズンに9勝以上を挙げて9敗以上を喫した投手は、以下のとおり。

筆者作成
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 レギュラーシーズンが1チーム120試合に短縮された2020年を除くと、直近の4シーズンに延べ13人だ。この人数からすると、1シーズンに10勝以上と10敗以上を記録する投手が再び現れても、おかしくない気もする。

 ただ、13人のうち、二桁白星&二桁黒星となる可能性のあるマウンドに上がったのは――9勝&二桁黒星からの登板、あるいは二桁勝利&9敗からの登板は――半数以下の5人に過ぎない。

 例えば、2023年の2人の場合、上沢直之(当時・北海道日本ハム/現タンパベイ・レイズ)は9勝9敗なので、二桁白星&二桁黒星にリーチがかかっていない。また、9勝10敗の隅田知一郎(埼玉西武ライオンズ)が10敗目を喫したのは、シーズン最後の登板だ。

 1シーズンに先発25登板以上の人数は、基本的に減少しつつある。2014年の21人と2015年の19人に対し、2022年は6人、2023年は4人となっている。

 二桁勝って二桁負ける投手の不在は、まだ続くかもしれない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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