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打倒ドジャースに向け、前ドジャースのスラッガーではなく、元ドジャースのスラッガーを手に入れる

宇根夏樹ベースボール・ライター
フィリー・ファナティック(左)とジョク・ピーダーソン(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 アリゾナ・ダイヤモンドバックスは、ジョク・ピーダーソンを迎え入れ、DHとして起用するようだ。

 ESPNのオールデン・ゴンザレスやUSAトゥデイのボブ・ナイテンゲールらが、契約の合意を報じている。2024年が950万ドルで、2025年は1400万ドル(解約金300万ドル)の相互オプションらしい。1年1250万ドルということだ。

 ダイヤモンドバックスの外野には、左から右に、ルルデス・グリエルJr.アレック・トーマスコービン・キャロルが揃う。

 ナイテンゲールは、先月中旬、ダイヤモンドバックスはJ.D.マルティネスジャスティン・ターナーを手に入れたいと考えている、と報じた。その前に、ニューヨーク・ポストのジョン・ヘイマンが挙げた、J.D.と契約を交わす可能性がある球団には、ダイヤモンドバックスが含まれていた。

 おそらくは偶然だろうが、J.D.は前ドジャース、ターナーとピーダーソンは元ドジャースだ。それぞれ、2023年、2014~22年、2014~20年に、ドジャースでプレーした。ピーダーソンのドジャース在籍は、メジャーデビュー前も含めると、2010~20年となる。

 昨年、ダイヤモンドバックスは、リーグ優勝を飾った。ディビジョン・シリーズでは、ドジャースをスウィープした。けれども、レギュラーシーズンは、ドジャースに16ゲーム差をつけられた。2012年以降の12シーズン中、ダイヤモンドバックスの地区順位がドジャースより上だったことは、一度もない。

 2023年のホームランと出塁率は、J.D.がドジャースで33本と.321、ターナーがボストン・レッドソックスで23本と.345、ピーダーソンはサンフランシスコ・ジャイアンツで15本と.348だ。2人と比べると、ピーダーソンのホームランはかなり少なく、出塁率はターナーとほとんど変わらない。

 ただ、J.D.とターナーの四球率が7.1%と8.1%だったのに対し、ピーダーソンは13.4%を記録した。また、2024年のシーズン年齢(6月30日時点)は、J.D.が36歳、ターナーが39歳、ピーダーソンは32歳だ。

 J.D.ほどではないが、ピーダーソンもパワーはある。2019年は36本のホームランを打ち、その前に3度、25本塁打以上を記録している。2022年は23本塁打だ。ターナーのシーズン本塁打は、2016年と2019年と2021年の27本が最も多い。

 あるいは、11月下旬にシアトル・マリナーズからエウヘニオ・スアレスを獲得したのに続き、12月下旬にグリエルJr.と3年4200万ドルの再契約を交わした時点で、J.D.とターナーは、ダイヤモンドバックスのDH候補から外れていたのかもしれない。スアレス、グリエルJr.、J.D.、ターナーは、4人とも右打者。ピーダーソンは、左打者だ。

 ダイヤモンドバックスのラインナップには、シーズン30本塁打以上を記録したことがある4人が並ぶ。ピーダーソン以外の3人は、ケテル・マーテイが2019年に32本(2023年は25本)、クリスチャン・ウォーカーが2022~23年に36本と33本、スアレスは2018~19年の34本と49本に2021~22年の31本ずつ(2023年は22本)だ。

 加えて、コービン・キャロルとグリエルJr.は、2023年に25本と24本のホームランを打っている。うまくいけば、チーム本塁打は、前年の166本(リーグ10位タイ)から大幅に増えるはずだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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