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ドジャースが目論むローテーションの補強は、山本由伸とこの投手!? どちらか1人ではなく…

宇根夏樹ベースボール・ライター
タイラー・グラスナウ Aug 14, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ロサンゼルス・ドジャースは、大谷翔平を手に入れた。だが、来シーズン、大谷は、打席には立つものの、マウンドには上がらない。

 ドジャースは、先発投手を必要としている。

 ジ・アスレティックのファビアン・アーダヤらによると、ドジャースは、12月5日に山本由伸と会い、そこには、ムーキー・ベッツフレディ・フリーマン、――――ラインナップの1番から3番に並ぶであろう3人――に、ウィル・スミスも同席したという。スミスは、ドジャースの正捕手だ。

 また、タンパベイ・タイムズのマーク・トプキンらは、ドジャースとタンパベイ・レイズがトレードについて話し合っている、と報じている。2対2のトレードで、レイズのタイラー・グラスナウマニュエル・マーゴと、ドジャースのライアン・ペピオジョニー・デルーカの交換らしい。いずれも、先発投手と外野手だが、ドジャースが手放そうとしている2人は、まだ開花していない若手だ。

 ドジャースは、先発投手の山本とグラスナウのうち、どちらか一方ではなく、2人とも手に入れようとしているのではないだろうか。そう考える理由、現時点でドジャースに在籍している先発投手たちについては、こちらで書いた。

「大谷翔平がローテーションに加わらない、来シーズンのドジャースは、山本由伸らを逃すと結構心配!?」

 グラスナウは、30歳の右投手だ。これまでの8シーズンとも、120イニングを超えたことはない。ただ、ここ5シーズン(2019~23年)は、先発60登板の332.2イニングで、奪三振率12.50と与四球率2.76、防御率3.03とFIP2.89を記録している。今シーズンは、先発21登板で120.0イニングを投げ、奪三振率12.15と与四球率2.78、防御率3.53とFIP2.91だ。スタットキャストによると、今シーズン、4シームは、最速が99.1マイル、平均球速は96.4マイル。スライダーとカーブは、スピンが効いている。

 山本もグラスナウも、欲しがっている球団は少なくないが、ドジャースが2人を加えることに成功すれば、ローテーションは、ほぼ確定する。順序はさておき、ウォーカー・ビューラーボビー・ミラー、山本、グラスナウの4人に、あと1人は、ライアン・ヤーブローか若手の誰かだ。

 あるいは、ドジャースは、6人でローテーションを構成するつもりなのかもしれない。

 今シーズン、山本の登板間隔は、中6日かそれよりも長かった。5人のローテーションは中4日が基本だが、6人なら中5日だ。中6日→中4日と中6日→中5日を比べると、後者のほうがアジャストの幅は小さい。

 登板間隔を長くすれば、グラスナウの怪我を防ぐのに役立つ可能性もある。イニングの少なさから窺えるとおり、グラスナウは、これまで、たびたび怪我に見舞われている。

 それだけではない。ビューラーは、手術明けのシーズンとなる。昨年8月に2度目のトミー・ジョン手術を受け、今シーズンは、9月初旬にAAAで2イニングしか投げていない。ミラーは、来シーズンがメジャーリーグ2年目。マイナーリーグを含めても、140イニング以上のシーズンはなく、今シーズンの計138.2イニング――AAAの4登板で14.1イニングとメジャーリーグの22登板で124.1イニング――が最も多い。

 ビューラーとグラスナウ(とヤーブロー)は、来オフにFAとなる。その一方で、2025年は、大谷が投手として復帰するのに加え、こちらも手術明けのダスティン・メイトニー・ゴンソリンが戻ってくる――順調にいけば、メイは来夏に復帰する――予定だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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