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DH賞の受賞者ゼロはア・リーグに2チーム。最多は4人が計11度。エンジェルスは3年連続3度の大谷だけ

宇根夏樹ベースボール・ライター
フランク・トーマス July 1, 2004(写真:ロイター/アフロ)

 ここ3年とも、大谷翔平が受賞しているエドガー・マルティネス・アウトスタンディングDH賞――エドガー・マルティネスの名前を冠したのは2004年から――は、1973年のオーランド・セペダを皮切りに、延べ50人が選ばれている。1994年の選出はなかった。

 2020年のマーセル・オズーナ(アトランタ・ブレーブス)以外は、受賞のシーズンにア・リーグのチームでプレーしていた。ナ・リーグがDH制を採用したのは、まだ3シーズン、短縮シーズンの2020年と、2022年以降に過ぎない。

 ア・リーグにも、DH賞の受賞者が皆無のチームはある。タンパベイ・レイズとヒューストン・アストロズがそうだ。レイズは、1998年に誕生した。アストロズは、2013年にナ・リーグからア・リーグへ移った。

 あとの13チームの受賞人数、回数、最後の受賞者は、以下のとおり。

筆者作成
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 ボストン・レッドソックスは、セペダ、ジム・ライスドン・ベイラーデビッド・オティーズの4人だ。オティーズが8度受賞しているので、4人合わせて11度となる。

 ロサンゼルス・エンジェルスは、回数こそ3度だが、大谷しか受賞していない。2021年に大谷が選ばれるまでは、レイズとアストロズと同じく、受賞者が皆無のチームだったということだ。エンジェルスは、1961年の創設から、ずっとア・リーグにいる。

 また、ニューヨーク・ヤンキースとシカゴ・ホワイトソックスは、30年以上も受賞者が途絶えている。もっとも、選出されてもおかしくなかったDHはいた。

 例えば、2000年に受賞したのはシアトル・マリナーズのエドガーだが、エドガーの打率.324と出塁率.423、37本塁打と145打点、OPS1.002に対し、ホワイトソックスのフランク・トーマスは、打率.328と出塁率.436、43本塁打と143打点、OPS1.061を記録している。この年のMVP投票で、エドガーは6位タイ、トーマスは2位に位置した。

 トーマスは、他の年も、他のチームでも、DH賞を手にしていない。1993~94年にMVPを受賞した当時は、一塁手だった。

 なお、ア・リーグの13チームとブレーブスの他に、ミルウォーキー・ブルワーズもDH賞の受賞者がいる。1990年に、デーブ・パーカーが選出された。ブルワーズは、1998年にア・リーグからナ・リーグへ移った。

 DH賞については、こちらでも書いた。

「大谷翔平の3度よりエドガー・マルティネス賞の受賞回数が多いのは、オティーズとエドガーの2人だけ」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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