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大谷翔平の2年連続本塁打王はあっても、2年連続MVPはない!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平 Aug 13, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズン、大谷翔平(当時ロサンゼルス・エンジェルス/現FA)は、ア・リーグ最多の44本塁打を記録した。来シーズンも本塁打王を獲得すれば、ア・リーグではなくナ・リーグであっても、2年連続となる。MVPも同様だ。

 今世紀に限っても、続けて本塁打王となった選手は4人いる。2001~03年に52本と57本と47本のアレックス・ロドリゲス、2009~10年に47本と42本のアルバート・プーホルス、2010~11年に54本と43本のホゼ・バティスタ、2015~16年に42本と41本のノーラン・アレナード(当時コロラド・ロッキーズ/現セントルイス・カーディナルス)がそうだ。

 アレナードは、この両シーズンとも1位タイ。2015年はブライス・ハーパー(当時ワシントン・ナショナルズ/現フィラデルフィア・フィリーズ)と並び、2016年はクリス・カーターと本塁打王を分け合った。ちなみに、2018年は38本ながら、単独で本塁打王を獲得している。

 今シーズンの大谷は、出塁率.412とOPS1.066も、リーグ・トップだった。どちらも、今世紀の連続1位は、本塁打王よりも多い。それぞれの直近は、出塁率が2020~21年に.490と.465のホアン・ソト(当時ナショナルズ/現サンディエゴ・パドレス)、OPSは2017~19年に1.071と1.088と1.083のマイク・トラウト(エンジェルス)と2018~19年に1.000と1.100のクリスチャン・イェリッチ(ミルウォーキー・ブルワーズ)だ。

 今世紀の連続MVPも、3人いる。20世紀を含む、歴代の連続受賞は、以下のとおり。

1932~33年 ジミー・フォックス

1944~45年 ハル・ニューハウザー

1954~55年 ヨギ・ベラ

1956~57年 ミッキー・マントル

1958~59年 アーニー・バンクス

1960~61年 ロジャー・マリス

1975~76年 ジョー・モーガン

1980~81年 マイク・シュミット

1982~83年 デール・マーフィー

1992~93年 バリー・ボンズ

1993~94年 フランク・トーマス

2001~04年 バリー・ボンズ

2008~09年 アルバート・プーホルス

2012~13年 ミゲル・カブレラ

 バリー・ボンズは、1992~93年の連続MVPの間にFAとなり、ピッツバーグ・パイレーツからサンフランシスコ・ジャイアンツへ移った。大谷も、それと同じパターン、MVP→移籍→MVPとなるかもしれない。おそらく、来シーズンは、エンジェルス以外のユニフォームを着てプレーするだろう。FAになる前の3シーズンは、ボンズ(1990~92年)も大谷(2021~23年)も、MVP→2位→MVPだ。

 ただ、連続かどうかを問わず、これまでにMVPを受賞したDHは、2021年の大谷しかいない。

 エドガー・マルティネスは、最高のDHに贈られる賞に名を冠されている。MVP投票の最高位は、1995年の3位だ。デビッド・オティーズは、2003~07年に5年続けて、MVP投票でトップ5にランクインした。けれども、受賞はなし。それぞれの順位は、5位、4位、2位、3位、4位だった。

 2年前の大谷は、DHとしてプレーしただけでなく、先発投手として130.1イニングを投げ、防御率3.18を記録した。来シーズンの大谷は、マウンドには上がらない。

 もっとも、前例がなくても、不可能ということにはならない。MVPに満票で2度選ばれた選手は、大谷の前には、誰もいなかった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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