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阪神の「王手」に対し、オリックスは「逆王手」。3勝3敗の日本シリーズはどちらの優勝が多いのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
青柳晃洋 AUGUST 2, 2021(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 阪神タイガースの3勝2敗で迎えた日本シリーズ第6戦は、オリックス・バファローズが5対1で勝利を収め、シリーズを3勝3敗とした。

 阪神は、シェルドン・ノイジーのホームランで先制したものの、山本由伸から挙げた得点は他になし。山本は、走者を背負う場面こそ少なくなかったものの、14三振を奪って日本シリーズの1試合最多記録を塗り替え、9イニングを投げきった。

 それまでの最多は、1試合13奪三振。1999年と2007年の第1戦に、それぞれ、工藤公康ダルビッシュ有(現サンディエゴ・パドレス)が記録した。この2人も完投。工藤は完封勝利を挙げ、ダルビッシュは犠牲フライによる1点しか取られなかった。

 3勝3敗となった日本シリーズは、今年が22度目だ。その前は2013年なので、10年ぶりということになる。これまでの21度は、以下のとおり。

筆者作成
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 今年の阪神のように、先に王手をかけたチームの優勝は10度。今年のオリックスのような、王手をかけられたところから逆王手をかけたチームの優勝は11度だ。なお、これまでの3勝3敗に、白星と黒星の並び順が今年と同じパターンは一度もない。今年の白星と黒星は、阪神が○●●○○●、オリックスは●○○●●○だ。

 阪神は、先に王手をかけてから逆王手をかけられた過去の2度、1964年と2003年のどちらも、優勝を逃している。オリックスの逆王手は、阪急ブレーブス時代の1978年と1984年に続く3度目。こちらも、過去の2度は第7戦に敗れた。第1戦から3連勝で王手をかけた後に3連敗で逆王手をかけられた1976年は、優勝を飾っている。

 王手の前後を問わず、3勝3敗から優勝のチームが最後の試合で挙げた得点は、さまざまだ。1963年の読売ジャイアンツは18得点、1954年の中日ドラゴンズは1得点。60年前の読売は、4対2で迎えた4回表に、柴田勲王貞治の2者連続ホームランなどで1イニング9得点を記録した。69年前の中日は、7回裏に井上登の三塁打で挙げた1点を、杉下茂が守りきった。

 一方、最後の試合の失点は、1963年と1989年の読売以外、21チーム中19チームが3点以下だ。なかでも、1991年以降の8チームは2失点以下。直近の2チーム、2011年の福岡ソフトバンク・ホークスと2013年の東北楽天ゴールデンイーグルスは、完封で優勝にたどり着いた。どちらも継投。12年前の福岡ソフトバンクは、杉内俊哉ブライアン・ファルケンボーグ森福允彦攝津正の4人、10年前の東北楽天は、美馬学(現・千葉ロッテ・マリーンズ)、則本昂大田中将大の3人がつないだ。

 彼らのうち、田中は、前日の第6戦に9イニングを投げた。また、杉内は、7イニング無失点の2011年だけでなく、2013年の第7戦も、先発マウンドに上がっている。こちらは、1回裏と2回裏に1点ずつを取られ――計2失点だが自責点は1――2回裏の途中に降板した。

 今年の第7戦は、宮城大弥(オリックス)と青柳晃洋(阪神)が投げ合う。宮城は、第2戦に6イニング無失点。青柳は、シリーズ初登板となる。最後に投げた9月29日は、4イニングで4失点(自責点4)だった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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