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12年ぶりのリーグ優勝を成し遂げた26人はどうやって集められたのか。ラスト・ピースとなったのは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
テキサス・レンジャーズ Oct 23, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 10月23日、テキサス・レンジャーズは、11対4で勝利を収め、ヒューストン・アストロズのリーグ3連覇とワールドシリーズ2連覇を阻んだ。2010~11年以来、3度目のリーグ優勝を飾った。

 リーグ・チャンピオンシップ・シリーズのロースターに名を連ねた26人を、入団の順に並べると、以下のようになる。

筆者作成
筆者作成

 26人の入団の内訳は、生え抜きがドラフト指名3人とドミニカン2人の計5人、トレードは12人、FAは9人だ。

 生え抜きが少ないように感じるかもしれないが、2021年のシーズンが終わるまでにトレードでレンジャーズへ移籍した6人は、いずれも、ブレイク前だった。例えば、今年のレギュラーシーズンとここまでのポストシーズンを合わせて46本塁打のアドリス・ガルシアは、2018年にセントルイス・カーディナルスでメジャーデビューしたものの、この年メジャーリーグ出場は21試合に過ぎず、翌年はずっとAAAでプレーしていた。

 FAに大枚を投じるようになったのは、2021年のオフだ。コリー・シーガーと10年3億2500万ドル、マーカス・シミエンと7年1億7500万ドル、ジョン・グレイと4年5600万ドルの契約を交わした。

 そして、昨オフは、ローテーションの整備に動いた。5年1億8500万ドルでジェイコブ・デグローム、2年3400万ドルでネイサン・イオバルディ、2年2500万ドルでアンドルー・ヒーニーを迎え入れた。デグロームは、開幕から6試合に投げたところで右肘を痛め、6月にトミー・ジョン手術を受けたが、イオバルディとヒーニーは、それぞれ145イニング前後を投げ、防御率3.63と4.15を記録した。夏に一時離脱するまで、イオバルディはエース級のピッチングを続けていた。

 今シーズン途中に加わった5人のなかから、「ラスト・ピース」として、レンジャーズをポストシーズンとリーグ優勝に牽引した選手を1人選ぶなら、ジョーダン・モンゴメリーだろう。カーディナルスから移籍後の11登板で防御率2.79を記録したのに続き、ポストシーズンは5登板で防御率2.16。先発4登板に加え、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズ第7戦は、中2日でリリーフとしてマウンドに上がり、2.1イニングを投げてアストロズに得点を許さなかった。登板時点のリードは2点。まだ、試合の行方はわからなかった。ガルシアのシリーズMVPに異論はないものの、モンゴメリーの働きも大きかった。

 なお、プリンストン大出身のメジャーリーガー、クリス・ヤングがGMに就任したのは、2020年12月だ。当時は、ヤングの上に編成責任者のジョン・ダニエルズがいたが、昨年の夏に解雇された。

 ちなみに、今シーズンから采配を振っているブルース・ボウチー監督とヤングは、監督と投手の間柄だったこともある。それについては、こちらで書いた。

「同じチームで「投手と監督」だった2人が「GMと監督」としてタッグを組む」

 ここから、レンジャーズは、2011年にあと一歩のところで逃した、初のワールドシリーズ優勝をめざす。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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