打率1割台で47本塁打のスラッガーは、ポストシーズンでも打てていないがホームランは打っているのか
今シーズン、カイル・シュワーバー(フィラデルフィア・フィリーズ)は、両リーグで2番目に多い、47本のホームランを打った。その一方で、打率は.197に過ぎず、500打席以上の136人のなかで最も低かった。
これまで、打率.200未満のシーズンに40本塁打以上の選手はいなかった。2021年に打率.199のジョーイ・ギャロ(当時テキサス・レンジャーズ&ニューヨーク・ヤンキース/現ミネソタ・ツインズ)が記録した38本塁打が最も多く、40本塁打以上のワースト打率は、2012年に41本のホームランを打ったアダム・ダンの打率.204だった。
シュワーバーのスタッツで際立っていたのは、打率の低さとホームランの多さだけではない。126四球は両リーグで2番目に多く、215三振は最多。三振は、歴代でも5番目の多さだった。
ポストシーズンでは、ここまでの10試合で4本のホームランを打っている。ワイルドカード・ゲームの2試合とディビジョン・シリーズの4試合は0本塁打ながら、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズは、第1戦に先頭打者ホームラン、第2戦に2打席連続ホームラン、第4戦にも1本塁打。ホームランがなかった第3戦を含め、4試合で4本塁打だ。
今年のポストシーズンで4本塁打は、6本塁打のヨーダン・アルバレス(ヒューストン・アストロズ)と5本塁打のニック・カステヤノス(フィリーズ)に次ぎ、ブライス・ハーパー(フィリーズ)やアドリス・ガルシア(テキサス・レンジャーズ)らと並んでいる。リーグ・チャンピオンシップ・シリーズで4本塁打は、ア・リーグのシリーズに出場している選手を含め、誰よりも多い。シュワーバー以外は、いずれも2本塁打以下だ。
レギュラーシーズンと比べると、ここまでのポストシーズンの打率は高く、20打席以上の43人中、ほぼ真ん中の22位に位置する。とはいえ、その数値は.237だ。5四球は8位タイ、14三振は2位。16三振のナサニエル・ロウ(レンジャーズ)に次ぐ。
ポストシーズンのサンプル数が少ないこともあり、レギュラーシーズンと同じとはいかないが、基本的にはそう変わらないと見ていいだろう。
リーグ・チャンピオンシップ・シリーズ第4戦のホームランにより、シュワーバーは、ポストシーズン通算本塁打を19本とした。歴代5位のアルバート・プーホルスとジョージ・スプリンガー(現トロント・ブルージェイズ)に並び、レジー・ジャクソンを抜いて、左打者の単独トップに立った。
だが、フィリーズは、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズの第1戦と第2戦に続けて勝った後、第3戦と第4戦に連敗を喫した。前年に続いてワールドシリーズに進むには、シュワーバーがここからもホームランを量産し、「ミスター・オクトーバー」となる必要があるかもしれない。