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前年にチームのクローザーを務め、防御率1点台&19セーブの投手を呼び戻す。どうやって手に入れた!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ホルヘ・ロペス Jul 23, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 9月2日、ボルティモア・オリオールズは、マイアミ・マーリンズからホルヘ・ロペスを獲得した。

 オリオールズでは、クローザーのフェリックス・バティスタが、先月下旬に右肘の靱帯を損傷した。復帰の時期だけでなく、今シーズン中に復帰できるのかどうかもわかっていない。

 昨シーズン、ロペスは、オリオールズでクローザーを務めていた。夏のトレードでミネソタ・ツインズへ移るまでに、44登板で19セーブを挙げ、防御率1.68を記録した。

 ただ、昨シーズンの移籍後は、23登板で防御率4.37。今シーズンは、ツインズとマーリンズで投げ、それぞれ、37登板で防御率5.09と12登板で防御率9.26だ。昨シーズンの移籍前に10.06だった奪三振率は、昨シーズンの移籍後が7.15、今シーズンの移籍前と移籍後は6.88と6.17。ファングラフスやスタットキャストのデータによると、ゴロ率も低下している。ロペスは、シンカーをメインとするグラウンドボーラーだ。

 今夏のトレードについては、こちらで書いた。

「この球団は4日間に3件のトレードをまとめ、リリーフ投手3人を獲得」

 マーリンズは、ロペスをウェーバーにかけた。それに対し、オリオールズが獲得の名乗りを上げた。ツインズもマーリンズも、昨シーズンのオリオールズで投げていた時と同様のロペスであれば、手放すことはなかったはずだ。現在、ツインズは地区首位に立っていて、マーリンズはワイルドカードの3番手まで2ゲーム差の位置にいる。

 オリオールズも、再びクローザーとして投げさせるつもりで、ロペスを呼び戻したのではないだろう。バティスタの離脱に伴い、クローザーの役割は、セットアッパーだったイェンニアー・カノーが主に担っている。

 昨年の夏、カノーは、ロペスの交換要員として、マイナーリーガーの3投手とともに、ツインズからオリオールズへ移った。そして、今シーズン、ブレイクを果たした。60登板で29ホールドと5セーブ、防御率1.56を記録している。

 なお、オリオールズは地区首位にいるが、9月に入ってから加わったロペスは、ポストシーズンのロースターには入れない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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