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通算100本目のホームランを打ち、同時に「9番打者としての本塁打」の新記録も樹立する

宇根夏樹ベースボール・ライター
マーティン・マルドナード(ヒューストン・アストロズ)Jun 13, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月13日、「9番・捕手」として出場したマーティン・マルドナード(ヒューストン・アストロズ)は、シーズン4本目のホームランを打ち、通算100本塁打に到達した。

 マルドナードは、まったく打てないわけではないが、打撃を売りとしてきた捕手ではない。シーズン本塁打は、昨シーズンの15本が最多。二塁打は2017年と2019年の19本が最も多く、OPSが.730を上回ったシーズンはない。今シーズンは、6月13日の試合を終え、打率.188と出塁率.271、4本塁打と4二塁打、OPS.566だ。

 だが、マルドナードは、9番打者として最も多くのホームランを打った選手、となった。マルドナードの100本塁打は、5番打者として1本、6番打者として9本、7番打者として12本、8番打者として35本に、9番打者として43本だ(他の打順は0本)。ベースボール・リファレンスによると、1901年以降、9番打者として43本塁打以上は、マルドナードしかいないという。

 2020年9月3日に67本目のホームランを打った時点では、半数以上が8番打者としてだったが、その後の33本塁打は、すべて9番打者として記録した。先月22日のホームランで、9番打者として42本塁打のリック・デンプシーマイク・ボーディックに並び、約3週間後に彼らを追い抜いた。

 また、先月22日のホームランにより、マルドナードは、全30チームの投手からホームランを記録した選手、となった。アストロズのゲーム・ノーツによると、100本塁打未満で30チームをコンプリートは4人目。他の3人は、ホゼ・ギーエン(78本)、オーランド・ハドソン(81本)、スティーブン・ドルー(96本)だという。マルドナードは99本だ。

 ちなみに、98本目のホームランは、先月9日に大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)から打った。大谷とマルドナードは、2018年に8試合でバッテリーを組んでいる。大谷がメジャーリーグで投げた最初の9試合のうち、5登板目以外の8登板がそうだ。大谷の投球を受けるだけでなく、大谷の投球を打ち返してホームランにしたこともあるのは、前後を問わず、マルドナードだけだ。

 なお、9番打者としてのホームランに続き、マルドナードが8番打者としての最多記録も更新する可能性は、まずなさそうだ。こちらは、デル・クランドルの109本塁打が最も多い。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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