「三振トップ5」の5人中4人はマリナーズの選手。奪三振ではなく…
6月4日を終え、ア・リーグで60三振以上を喫している選手は、18人を数える。そのうちの7人は、70三振以上だ(ナ・リーグは、60三振以上が19人、70三振以上は4人)。
三振の多いほうから数えて、トップ5には、シアトル・マリナーズの選手が4人いる。81三振のテオスカー・ヘルナンデスが1位、72三振のジャレッド・ケルニックとエウヘニオ・スアレスが2位タイ、71三振のフリオ・ロドリゲスは5位。あとの1人は、ニューヨーク・ヤンキースのアンソニー・ボルピーが、ケルニックとスアレスの2人と並んでいる。
マリナーズとトロント・ブルージェイズは、1977年に誕生した。以降の46シーズン(1977~2022年)において、シーズンが終わった時点で、同じチームの4人がア・リーグの三振トップ5にランクインしていたことは、一度もない。
このスパンの1チーム最多は、3人だ。1991年は、デトロイト・タイガースのロブ・ディアー、セシル・フィルダー、トラビス・フライマンが、1位(175三振)と3位(151三振)と4位(149三振)。1998年は、ブルージェイズのホゼ・カンセコ、ショーン・グリーン、カルロス・デルガドが、1位(159三振)と3位(142三振)と5位(139三振)だった。
ナ・リーグと1976年以前のア・リーグについては調べていないが、今シーズンが終わった時点でも、このまま、マリナーズの4人が三振のトップ5にランクインしていれば、もしかすると、史上初かもしれない。
ちなみに、1977年以降のア・リーグで、チームメイトがトップ2は1度。1981年に、オークランド・アスレティックスのトニー・アーマスとドウェイン・マーフィーが、リーグ最多の115三振と2番目に多い91三振を喫した。
三振の多さは、必ずしも不振を意味するものではない。例えば、1998年のア・リーグで三振のトップ5にランクインしたブルージェイズの3人は、いずれも35本以上のホームランを打ち、OPS.835以上(と100打点以上)を記録した。1991年のア・リーグで44本塁打を記録し、本塁打王のタイトルを分け合った2人、カンセコとフィルダーの152三振と151三振は、175三振のディアーに次いで多かった。
また、三振の多い打者が揃っても、チームが弱いとは限らない。1998年のブルージェイズは、東地区3位ながら、88勝74敗(勝率.543)を記録した。この勝率を現行のフォーマットに当てはめると、ワイルドカードの2番手となる(当時のワイルドカードは、各リーグ1チーム)。1991年のタイガースは、強かったとは言えないものの、それでも、勝ち越している。84勝78敗(勝率.519)だ。アーマスとマーフィーを擁した1981年のアスレティックスは、前期と後期を合わせ、リーグ・ベストの64勝45敗(勝率.587)を記録した。
ただ、今シーズン、マリナーズの4人中3人は、OPS.730未満だ。ケルニックは.828だが、ロドリゲスは.729。ヘルナンデスとスアレスのOPSは.688と.639に過ぎない。昨シーズン、ケルニックを除く3人のOPSは.790を超えていた。
ここまでのマリナーズは、29勝30敗(勝率.492)だ。西地区首位のテキサス・レンジャーズと9.5ゲーム差の4位に位置し、ワイルドカード・レースでも、3番手のニューヨーク・ヤンキースとは、間に3チームを挟み、6ゲーム離れている。