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61.0イニングで100奪三振は新記録。66イニング以下で三桁に達した過去8人のシーズン奪三振は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
スペンサー・ストライダー(アトランタ・ブレーブス)May 23, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月28日、スペンサー・ストライダー(アトランタ・ブレーブス)は、6イニングを投げて9三振を奪い、シーズン奪三振を106とした。

 シーズン100奪三振に到達したのは、この試合の3奪三振目、4回表の最初のアウトだ。その前の10登板は57.2イニングで97奪三振なので、開幕から61.0イニングで100奪三振ということになる。イニングは57.2+3.1=61.0、奪三振は97+3=100だ。

 イライアス・スポーツ・ビューローによると、これは、1900年以降の「モダン・エラ」における、先発投手の新記録。それまで、シーズン100奪三振到達の最少イニングは、2021年にジェイコブ・デグローム(当時ニューヨーク・メッツ/現テキサス・レンジャーズ)が記録した61.2イニングだった。

 66イニング以下で100奪三振は、延べ9人の先発投手が記録している。今シーズンのストライダーと2年前のデグローム以外は、到達時のイニングが少ない順に、2020年のシェーン・ビーバー(クリーブランド・インディアンズ=ガーディアンズ)が62.1イニング、2018年のマックス・シャーザー(当時ワシントン・ナショナルズ/現メッツ)が63.0イニング、2019年のゲリット・コール(当時ヒューストン・アストロズ/現ニューヨーク・ヤンキース)が65.0イニング、2001年のケリー・ウッドが65.2イニングで、1998年のウッド、1999年のペドロ・マルティネス、2001年のランディ・ジョンソンは66.0イニングだ。

 ストライダーを除く8人のうち、半数の4人は、そのシーズンに300三振以上を奪った。多い順に、2001年のランディが372奪三振、2019年のコールが326奪三振、1999年のペドロが313奪三振、2018年のシャーザーは300奪三振だ。

 一方、ウッドは、1998年が233奪三振、2001年は217奪三振。2021年のデグロームは146奪三振、2020年のビーバーは122奪三振だった。

 300奪三振以上の4人は、210イニング以上を投げた。それに対し、ウッドは、両シーズンとも175イニング未満。デグロームとビーバーは、100イニングに達していない。デグロームは、故障に見舞われ、前半戦だけでシーズンを終えた。ビーバーは、新型コロナウイルスのパンデミックによる、短縮シーズンが理由だ。

 ストライダーは、ここまでの奪三振率14.98が今後も変わらなかった場合、180イニング前後で300奪三振となる。200イニング以上なら、330奪三振を超えるペースだ。

 なお、1900年以降のシーズン奪三振トップ3は、ノーラン・ライアン(1973年)の383、サンディ・コーファックス(1965年)の382、ランディ(2001年)の372だ。規定投球回以上のシーズン奪三振率は、ビーバー(2020年)の14.20、コール(2019年)の13.82、デグローム(2020年)の13.76。短縮シーズンの2020年を除くと、ランディ(2001年)の13.41とペドロ(1999年)の13.20が2位と3位に位置する。シーズン奪三振率13.00以上の先発投手は、彼らの他にはいない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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