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捕手が投手に跳び乗り、あと6アウトのところで完全試合が途切れる

宇根夏樹ベースボール・ライター
ドルー・スマイリー(シカゴ・カブス)Apr 21, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 4月21日、ドルー・スマイリー(シカゴ・カブス)は、完全試合まであと6アウトに迫った。1回表から7回表まで、いずれも3人をアウトに仕留め、8回表のマウンドに上がった。

 カウント0-1からの2球目、デビッド・ペラルタ(ロサンゼルス・ドジャース)の打球は、力なく三塁側へ転がった。スタットキャストによると、2球ともナックル・カーブだ。そこに、スマイリーと捕手のヤン・ゴームズが駆け寄り、スマイリーが素手でボールを掴んだ。ゴームズは、スマイリーを跳び越えようとしたが、ぶつかって背中に乗っかるような格好となり、2人揃ってフィールドに転がった。

 記録は内野安打。完全試合は潰えた。

 スマイリーは、続く2人を三塁フライと三振に仕留めたところで降板した。カブスは、13対0でドジャースを下した。

 送球することができていても、ペラルタをアウトにできたかどうかは、わからない。ただ、スマイリーは、ゴームズに背を向け、左手でボールを掴んだ。この向きなら、捕球後に身体を回転させることなく、そのまま投げることができる。映像では、ゴームズがぶつかる前に、スマイリーは送球体勢に入っているようにも見える。また、ペラルタは左打者だが、快足というわけではない。

 ナ・リーグとア・リーグにおいて、完全試合は23度しか達成されていない。直近は11年前だ。2012年8月15日に、シアトル・マリナーズのフェリックス・ヘルナンデスが成し遂げた。これまでの達成者のなかに、カブスの投手はいない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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