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開幕スタメンが14年連続で途切れるベテランは、プレーも今年が見納めになるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
アルバート・プーホルス(左)とジョーイ・ボトー Aug 31, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今から15年前、スコット・ハッテバーグは、その前の2年と同じく、シンシナティ・レッズの一塁手として、開幕戦のスターティング・ラインナップに名を連ねた。2002年から2005年まで、オークランド・アスレティックスでプレーした――映画「マネーボール」では、クリス・プラットがハッテバーグを演じた――後、ハッテバーグはレッズへ移った。

 ハッテバーグは、2008年6月にレッズから解雇され、そのままキャリアを終えた。翌年以降、レッズで開幕戦に一塁を守ってきたのは、ジョーイ・ボトーだ。このストリークは、2009年から昨年まで、14年続いている。

 けれども、15年連続とはならない。今年の開幕は、故障者リストに入って迎える。昨年8月、ボトーは、シーズン終了となる左肩の手術を受けた。今春は、3月中旬から下旬にかけてエキシビション・ゲームに出場し、打席に立つだけでなく、一塁の守備にもついていたが、まだ万全の状態ではないらしい。

 シンシナティ・エンクワイアラーのボビー・ナイテンゲールらによると、故障者リスト入りが決まる数日前、ボトーは「いいプレーができると思っているし、オフェンスでいいパフォーマンスが発揮できると感じている。できなければ引退する。そういうことだ」と語ったという。

 今回の故障者リスト入りは、多少出遅れても、コンディションを整え、復活を果たそうという意欲の現れだろうか。

 2007年9月のメジャーデビュー以降、ボトーのシーズン出塁率が.350を超えなかったのは、昨年の.319が初めてだ。また、昨年の四球率は11.7%ながら、2009年以降、12.5%を下回ったことはなかった。通算の出塁率は.412、四球率は15.7%。これらの数値は、ファングラフスによると、8000打席以上の289人中、18位と12位に位置する。

 ボトーとレッズが交わしている10年2億2500万ドルの契約は、今年が10年目だ。来年は、年俸2000万ドルの球団オプションだが、今年の出塁率が昨年と同水準であれば、レッズはオプションを行使せず、解約金の700万ドルを払うほうを選ぶ気がする。

 最後にプレーした時、ハッテバーグは38歳だった。ボトーは、昨年9月に39歳となった。

 2002年のドラフトで2巡目・全体44位に指名され、ボトーはレッズに入団した。以来、一度も移籍したことはない。

 なお、昨年まで、開幕スタメンを5年以上にわたって継続してきた選手のリストは、こちらに記載した。

「WBCの死球骨折により、11年連続の開幕スタメンが途切れる。継続中の最長は…」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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