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3億ドル以上の契約を得た選手はどんなスタートを切ったのか。今年はジャッジとマチャドとターナーが1年目

宇根夏樹ベースボール・ライター
マニー・マチャド(サンディエゴ・パドレス)Feb 27, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 マニー・マチャド(サンディエゴ・パドレス)は、10年3億ドルの契約5年目を迎える前に、11年3億5000万ドルの延長契約を交わした。

 総額3億ドル以上の契約を手にした選手は、マチャドが延べ13人目だ。2度の3億ドル以上は、他にはいない。これまでの4年1億2000万ドルとここからの契約を合計すると、2019年から2033年まで、15年4億7000万ドルとなる。

 今オフ、3億ドル以上の契約を交わした選手は、マチャドを含め、4人を数える。アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)の9年3億6000万ドル、マチャドの11年3億5000万ドル、トレイ・ターナー(フィラデルフィア・フィリーズ)の11年3億ドルは、今年が契約1年目。ラファエル・デバース(ボストン・レッドソックス)の10年3億1350万ドルは、来年からだ。今オフ、デバースとレッドソックスは年俸調停を回避し、年俸1750万ドルで合意に達した。その数日後、今年の年俸はそのままに、来年からの延長契約を締結した。

 すでに契約がスタートしている9人のうち、2019年のマイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)とブライス・ハーパー(フィリーズ)、2021年のフェルナンド・タティースJr.(パドレス)は、契約1年目に前年と遜色ないスタッツを記録し、トラウトは3年ぶり3度目のMVPに選ばれた。ただし、3人とも、この年のポストシーズンには出場していない。3チームとも、レギュラーシーズンに勝ち越すことができなかった。

 一方、2015年のジャンカルロ・スタントン(当時マイアミ・マーリンズ/現ヤンキース)は、素晴らしいシーズンを過ごしていたものの、左手の骨折により、7月以降は欠場した。2019年のマチャドと昨年のコリー・シーガー(テキサス・レンジャーズ)は、前年と比べ、OPSが100ポイント以上もダウンした。

筆者作成
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 もっとも、マチャドもシーガーも、契約1年目にパワーは発揮した。シーガーの33本塁打は、キャリア・ハイを7本更新した。

 また、マチャドの場合、2020年以降の出塁率とOPSは、3シーズンとも、契約1年目の.334と.796を上回った(シーガーは今年が契約2年目)。さらに、マチャドは、健康も維持し続けている。故障者リストに入ったのは、2014年が最後だ。その点、スタントンだけでなく、トラウトとハーパーも、故障の懸念は増している。昨年の出場は、3人とも120試合に満たなかった。

 今回のマチャドの契約は、前回とは状況も異なる。前回は、2018年の夏にボルティモア・オリオールズからロサンゼルス・ドジャースへ移り、オフにFAとなってパドレスに入団した。今回は、これまでと同じく、パドレスでプレーする。30歳から40歳まで、衰えることなくプレーできるとは思えないが、前回のように、契約1年目のスタッツが下降する可能性は、低いのではないだろうか。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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