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10年3億ドルの残り半分を打ち切り、FAになる三塁手に勝算はあるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
マニー・マチャド(サンディエゴ・パドレス)Oct 12, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 サンディエゴ・パドレスの三塁手、マニー・マチャドは、10年3億ドル(2019~28年)の契約5年目を迎える。この契約には、2023年のオフにオプト・アウトできる――マチャドのほうから契約を打ち切ってFAになれる――権利がついている。

 3億ドルの内訳は、契約金2000万ドル、2019年の年俸1000万ドル、2020~28年の各年俸3000万ドル。2023年が終わった時点で、残りは5年1億5000万ドル(年俸3000万ドル×5年)だ。ワシントン・ポストのチェルシー・ジェーンズらによると、先日、マチャドはオプト・アウトするつもりだと語ったという。

 2015年以降の8シーズンに、マチャドは250本のホームランを打ち、出塁率.348とOPS.856を記録している。直近の2シーズンは、2021年が28本塁打、出塁率.347、OPS.836、2022年は32本塁打、出塁率.366、OPS.897だ。

 また、このスパンのどのシーズンも、マチャドはほとんど欠場していない。短縮シーズンの2020年は、60試合すべてに出場した。他の7シーズンは、いずれも出場150試合以上だ。現在の年齢は30歳。7月に誕生日を迎える。

 すでに、パドレスは延長契約を申し出ている。サンディエゴ・ユニオン-トリビューンのケビン・エイシーらによると、マチャドはそれを認め、「提示されたのは年俸2100万ドルの5年契約、このとおりかな?」という問いには、「好きなように書いてくれ」と答えたという。

 パドレスの申し出がこのとおりだとすると、2024年以降の総額は、現契約の残りと提示額を合わせて、10年2億5500万ドル(2024~33年)となる。2024~28年の各年俸3000万ドル(5年1億5000万ドル)と2029~33年の各年俸2100万ドル(5年1億500万ドル)の合計だ。

 先月、ボストン・レッドソックスは、三塁手のラファエル・デバースと10年3億1350万ドル(2024~33年)の延長契約を交わした。デバースもマチャドも、過去2シーズンのスタッツは、ほとんど違わない。デバースが65本塁打、出塁率.355、OPS.885、マチャドは60本塁打、出塁率.357、OPS.867だ。もっとも、デバースは、2024年のシーズン年齢(6月30日時点)が27歳なので、マチャドと比べると4歳若い。

 それでも、マチャドがFA市場に出て、再び、総額3億ドル以上の契約を得る可能性はありそうだ。2023年のオフにFAとなる大物の三塁手は、デバースがいなくなり、マチャドとマット・チャップマン(トロント・ブルージェイズ)の2人くらいしか見当たらない。チャップマンのシーズン年齢は、マチャドと同じ。守備はマチャドを凌ぎ、パワーも備えるが、過去2シーズンのスタッツは、54本塁打、出塁率.319、OPS.737だ。

 総額3億ドル以上の契約を2度手にした選手は、まだいない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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