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山﨑康晃と松井裕樹が昨年到達した「5度目の30セーブ以上」。その前の達成者は2人。4度は3人

宇根夏樹ベースボール・ライター
山﨑康晃 August 2, 2021(写真:ロイター/アフロ)

 昨年、30セーブ以上を挙げた投手は、セ・リーグに5人、パ・リーグには2人いた。計7人のうち、山﨑康晃(横浜DeNAベイスターズ)と松井裕樹(東北楽天ゴールデンイーグルス)の30セーブ以上は、どちらも3年ぶり5度目だ。

 30セーブ以上のシーズンが2人よりも多い投手は、2005~13年に9年連続の岩瀬仁紀しかいない。5度で並んでいるのも、デニス・サファテだけだ。サファテは、2011年の広島東洋カープと2014~17年の福岡ソフトバンク・ホークスで、計5度の30セーブ以上を記録した。

 30セーブ以上が4度は、高津臣吾小林雅英武田久の3人。30セーブ以上が3度は、昨年が2年ぶり3度目の増田達至(埼玉西武ライオンズ)を含めて8人だ。30セーブ以上が3度以上は、15人となる。

筆者作成
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 高津と小林は、30セーブまであと1セーブのシーズンが1度ずつあるので、29セーブ以上が5度だ。平野佳寿(オリックス・バファローズ)も同様。こちらは、30セーブ以上が3度と29セーブが2度だ。昨年は28セーブだった。

 佐々木主浩は、日本プロ野球とメジャーリーグで30セーブ以上を計6度記録している。他に、メジャーリーグでシーズン30セーブ以上の日本人投手は、2006年の大塚晶則(晶文)と2007年の斎藤隆だ。大塚は、日米で30セーブ以上が1度ずつ。日本プロ野球では、1998年に35セーブを挙げた。斎藤は、2001年の27セーブが日本プロ野球時代のシーズン最多だ。

 また、林昌勇森唯斗(福岡ソフトバンク・ホークス)の2人は、通算130セーブ未満ながら、シーズン30セーブ以上が3度ある。一方、通算130セーブ以上を挙げた24人のなかには、30セーブ以上のシーズンが皆無の投手も4人いる。139セーブの赤堀元之、138セーブの大野豊、131セーブの鹿取義隆、130セーブの山本和行がそうだ。

 これは、基本的には、抑えとして投げた時代が大きいと思われる。メジャーリーグの表現に倣うと、抑え投手はファイヤーマンからクローザーとなった。ファイヤーマンは「消防士」あるいは「火消し」だ。セーブ機会でなくとも、ピンチの場面で登場する。赤堀は2004年まで投げたが、抑えを務めたのは20世紀だ。大野、鹿取、山本は、20世紀にしか投げていない。歴代10位――当時は歴代最多――の193セーブを挙げた江夏豊も、30セーブ以上のシーズンは、1983年の1度きりだ。抑え投手の役割の違いをざっくり分けると、佐々木の登場前と登場後、という見方もできる気がする。

 ちなみに、40セーブ以上のシーズンは、岩瀬の5度(2005~07年、2009~10年)が最も多い。それに次ぐのは、サファテの3度(2015~17年)、藤川球児の2度(2007年、2011年)だ。

 シーズン最多記録の変遷については、こちらで書いた。

「シーズン最多セーブの変遷。最初の30セーブは斉藤明夫、初の40セーブ以上は佐々木主浩」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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