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開幕ローテーションに入れないのは誰? デグロームら4人が加わり、レンジャーズには先発投手が8人

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジェイコブ・デグローム Sep 13, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズン、テキサス・レンジャーズでは、4人の投手が20先発以上を記録した。彼らは、現在もレンジャーズに在籍している。32先発のマーティン・ペレスは、オフにFAとなったが、1年1965万ドルのクオリファイング・オファーを受け入れた。24先発のジョン・グレイは、4年5600万ドルの契約1年目を終えたところだ。29先発のデイン・ダニングと27先発のグレン・オットは、まだ年俸調停の申請権を得ていない。

 今オフ、レンジャーズは、4人の先発投手を手に入れている。11月上旬にアトランタ・ブレーブスからジェイク・オドリッジを獲得し、今月に入ってから、FAの3人と契約を交わした。それぞれの契約は、ジェイコブ・デグロームが5年1億8500万ドル、アンドルー・ヒーニーが2年2500万ドル、ネイサン・イオバルディが2年3400万ドルだ。

 ローテーションの5枠に対し、「11人いる!」とまではいかないものの、少なくとも8人の先発投手がいる。

 開幕までに故障者が出ない限り、20代のダニングとオットは、ブルペンかAAAで開幕を迎えるに違いない。年齢が理由ではないが、他の6人と違い、どちらも規定投球回に達したことはなく、成績も目を瞠るものではない。マイナーリーグ・オプションも残っている。

 それでも、あと1人、ローテーションに入れない投手がいる。デグローム、イオバルディ、ペレス、グレイの4人が外れるとは考えにくい。残るは、オドリッジとヒーニーだ。

 ここ2シーズンの2人のスタッツを比べると、オドリッジは計211.0イニングで防御率4.31、ヒーニーは計202.1イニングで防御率4.85。オドリッジのほうが勝っている。通算の防御率も同様に、3.99と4.56だ。けれども、今シーズンに限ると、106.1イニングで防御率4.40と72.2イニングで防御率3.10。イニングは少ないが、ヒーニーのほうが1.00以上も低い。

 順当にいけば、ローテーションに入れないのは、オドリッジだろう。

 ヒーニーが記録した防御率3.10は、フロックではないはずだ。4シームにカーブとチェンジアップを交える投球から、4シームとスライダーのコンビネーションに切り替え、今シーズンは奪三振率13.62を記録した。この数値は、それまでの最高値を2.00以上も上回るだけでなく、今シーズン、70イニング以上を投げた188人のなかで2番目に高かった。規定投球回の半分にも届かなかったヒーニーに対し、レンジャーズが年平均1000万ドル以上の契約を提示したのも、この点が理由だと思われる。

筆者作成
筆者作成

 もちろん、5枠に5人では十分ではない。特に、レンジャーズの場合、開幕ローテーションに並ぶと想定される5人のうち、今シーズン、規定投球回に達したのはペレスしかおらず、彼らの先発登板の合計は101試合に過ぎない。とはいえ、さらに3人は多い気がする。他球団からトレードの申し込みがあれば、3人のうち誰かを手放しても不思議ではない。

 レンジャーズからすると、その筆頭候補は、オドリッジではないだろうか。ダニングとオットは伸びしろがあり、あと4年以上保有できるが、オドリッジは、来シーズンが3年2950万ドルの契約最終年だ。

ジェイク・オドリッジ Aug 6, 2022
ジェイク・オドリッジ Aug 6, 2022写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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